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back.gifシビュラの託宣・第5巻(1/2)

原始キリスト教世界

シビュラの託宣

第5巻(2/2)



5.260
もはや胸の内に気性を苦しめるな、浄福な女よ。
神の民よ、豊かに富める者よ、ただひとり慕われる花よ、
善き光よ、厳かな終末よ、*慕わしき聖徒よ*、
優美なユダヤよ、美しき都市よ、讃歌の中でも神に満たされた者よ。
もはやあなたの地にギリシア人〔異教徒〕たちの不浄の足が
狂宴を開くことはない。〔ギリシア人たちも〕胸の内に同じ掟に従う心(nou:V)を抱いているからである。
かえって誉れ高き子らはあなたを敬い、
聖なる歌をもって食卓に就くであろう、
さまざまな犠牲と神を畏れる祈りとともに。
苦難を耐え忍んだ義しい者たちは、暫しの苦渋に代えて
5.270
より豊かなものと喜ばしいものとを〔受け取るであろう〕。
しかし天に向かって無法のことばを投げた邪悪な者らは、
互いに敵対して言い合うことをやめ、
世界が過ぎ去る時まで隠されているだろう。
さて雲からは燃えさかる火の嵐が生ずるだろう。
また人々はもはや大地から美しい穂を喜び刈り取ることもないだろう。
すべては耕やされず鍬のはいらぬままにとどまり、ついに
死ぬべき人間は万物の主なる不死の神、永遠にいますかたを悟り、
もう死すべき犬や鷹をあがめることもなくなるだろう。
これらのものはエジプト人が、
5.280
悟りなき口と愚かな口唇とによって畏れるようにと指示したものである。
これに対し、敬虔な者たちだけの聖なる地は次のすべてのことをもたらすであろう。
すなわち蜜をしたたらす流れが岩と泉から〔流れ〕、不老不死の乳もすべての義しい人々のために流れるだろう。
なぜなら彼らはただひとりの始祖なる神、唯一のすぐれたかたを
深い敬虔と信仰とによって待ち望んだからである。
しかし、いったいなぜ賢い心はわたしにこれらの重荷を負わせるのか?
今わたしは、惨めなアジアよ[032]、おまえのことをいたく嘆いている。
さらにはイオニア人やカリア人や金に富むリュディア人の族のことをも。
おまえはわざわいだ、サルディスよ。またわざわいだ、愛らしいトラレスよ。
5.290
ああ、ああ、ラオデキアよ、美しい都市よ。このようにおまえたちは滅びる —
地震に破壊され、灰と化して。
暗きアジアによって[黄金に富むリリュディア人たち間で〔……〕。
5.292
.....................................................................
エペソスのアルテミスの聖所は、建立されていたのに、
いつの日か地割れと地震とによって、神々しき塩海の中に現れよう。
真っ逆さまに。まるで舟が疾風によって転覆するように。
エペソスは*その転落を嘆くだろう*、岸辺で泣きながら、
もう住む人のいない神殿を探し求めながら。

〔この1段は省略される〕
そしてそのとき、上天に住みたもう不滅の神が立腹して、
天より不浄の力に対して烈風を投じるだろう。
5.300
この日、冬の代わりに夏があろう。
そのときこそ、はかなき*男どもに**悔いが*あろう。
5.302

こういうのは、スミュルナも*リュクールゴス*を悼みつつ、
*エペソスの*城門に至り、みずからもいっそう〔無残に〕滅びるからである。

キューメー、愚かな女よ。神の霊を受けた河がありながら、
不敬、不義、不法な男たちの手に
5.310
おちいったので、もはや天に向かってあれほどの(ことばを吐く)ことはなく、 青い)河のほとりで死んだまま横たわっているだろう。
そのとき彼らはともどもに泣くだろう。悪しきことを予期しつつ。
キュメ人のかたくなな民と恥知らずな族とは印を受ける時、なんのために彼らが労苦したかを知るだろう。
こうして彼らがひどい様の灰燼に帰した大地を(見て)泣くとき、
レスボスはエリダノスによって永遠に破壊されるだろう。

おまえはわざわいだ(キビュラよ)、美しき町よ。宴会をやめよ。
またヒエラポリスよ、プルトンと交わったただひとりの地よ。
おまえは得ようと願っていたものを得るだろう。涙多き(金)を、
5.320
みずからがテルモドンの流れのほとりで地に埋められたのちに。
マイアンドロス川のほとりなる岩石に富んだトリポリスよ。
一夜の間の波浪によって岩壁の下へと定められているので、
いつの日か神の摂理がおまえをまったく滅ぼしてしまうだろう。

わたしがみずから進んでフォイボスの隣の地を選び取ることがないように。
華美なミレトスはいつの日か天からの雷光が滅ぼすだろう。
なぜなら彼女はフォイボスの欺きに満ちた歌を選んだからである。
また人間の知恵の学問や賢い思いを(選んだから)。

恵みたまえ、万物の父よ、優美にして実り多く、
大いなるユダヤの地を。それはわたしたちがあなたのみ心を知るためです。
5.330
神よ、あなたは第一にこの地を心にとめられました。それは恵みによって、
この地があなたの賜物であることがすべての人に現われ、
神がどのようなことを(ユダヤ人に)お与えになったかに彼らが注意するためです。

二重に惨めなわたしはトラキア人の業を見たく願う。
すなわち二つの海にまたがる壁を。これはアレスによって砂の中へ、
河のように引きずられて、魚をつつく鳥の所へ来た。

へレスボントスよ、惨めなおまえをいつの日かアッシリア人の子孫が醜につけ、
トラキア人の戦い(で)強大な力がおまえを滅ぼし尽くすであろう。
またマケドニアはエジプトの王が奪い、
異国の風土が支配者の力を倒すであろう。
5.340
リュディア人、ガラチア人、パンフリア人はピシディア人とともに
つらい戦いの備えをし、全民衆とともに治めるであろう。

三重に惨めなイタリアよ、おまえは荒れ果て、涙も出ないだろう。
花咲く地に住む毒獣が(おまえを滅ぼすだろう)。

さて上なる広い天が(晴れ渡っている時に)、
雷のようにとどろく音、すなわち神の声が聞こえるだろう。
太陽さえももはやその不滅の炎を失い、
八月の輝く光も、終わりの時、神が支配する時にはふたたび現われないであろう。
すべては暗くなり、閤が全地を蔽うだろう。
5.350
人々は盲目となり、獣は悪しくなるだろう。そして悲嘆が(全地を蔽うだろう)。
その日は長い期間に渡るだろう。こうして人々は
主なる神、天から万物をみそなわしたもうかた自身を悟るのである。
その時には神は敵意をいだく者らを憐れまれないだろう。
なぜなら彼らは子羊や羊や大声で鳴く牛や裏金の角をした大きな若牛の群れを犠牲にして、
命なきヘルメスや石の神々に捧げたからである。
掟、知恵、誉れをして義しい者らを治めさせよ。
いつの日か不滅の神が立腹して、
全人類と恥知らずな旅とを滅ばしたまわぬよう。
5.360
父なる神、知恵あるかた、永遠にいますかたを愛さな止りればならない。

終わりの時には夜のさ中に
世界を狂気にする戦争、しかも欺きの.策略に満ちたそれが起こるだろう。
そして地の果てから母殺しがやってくるだろう。
彼は逃れているのだ。そして心の中で鋭いことを思慮している。
彼は全地を滅ぼし、すべてのものを支配し、
すべての人間よりも、思慮深い事柄をなんであれ理解するだろう。
それによって彼が滅びたであろうことはただちに取り除き、
多くの力ある人々や君主を殺し、
かつてだれもしたことがないほどにすべての人を焼き尽くすであろう。
5.370
他方倒れた者を、彼は(これとは逆の)熱心さから引き起こすだろう。
人々の間に西から大規模な戦争が起こり、
血は深くうねる川の堤にまで(あふれて)流れるだろう。
(神の)憤激はマケドニアの野に降りそそぎ、〔  助けを、王には滅亡を(下すであろう)。
そしてそのとき冬の風が全地に吹きすさび、
野はふたたび悪しき戦争に満たされるであろう。
と言うのは天の床から人々に火が降れそそぎ、
火、血、水、稲妻、暗闇、天の夜、
戦争による衰滅、殺りくを蔽う霧が、
5.380
すべての王と高官とをもろともに滅ぼすからである。
それからこうして戟争の悲しむべき破壊は終わり、
もうだれも剣によっても刀によっても矢によっても戦わないだろう。
なぜならそれはもう彼らのなすべきことではないからである。
残された、知恵ある民は平和を得るだろう。
彼らはあとに喜ぶために、悪によって試されたからである。

母殺しの者らよ、過信と有害な無謀とから離れよ。
おまえたちはかつて汚れた思いで少年との床を備え、
暴圧と罰と苦心の破廉恥とによってかつて聖かつた女たちを遊女として窓に立たせた。〔 
5.390
なぜならおまえのうちではふらちにも母が子と交わり、
娘が花嫁としてその父と醜をともにしたからである。
おまえのうちでは王たちもその凶しき定めのロを汚し、
おまえのうちでは悪しき者らが家畜との床さえ作り出した。
口を閉じよ、悲しむべき者、悪しき町よ、宴会(など)を開いて
と言うのももはや、(おまえのもとで、喜び燃えるくべ物の薪によって)、
乙女子らは聖なる火を守りはしないだろうからである。
かつておまえのもとで慕われた杜は消え去った。
宮が地に打ち倒され、
汚れた手により、火に包まれるのを二回[033]わたしが見た時に。
5.400
いつの世にも栄えた社、神の守護神殿、
聖徒らから生まれたもの、永遠不滅の(官)、
全身全霊の望みをかけられていたものが。

なぜならこれらのものの中で賢い工匠は、無思慮にも、限にそれと見えぬ土や岩から(心の無い)神を作らず、
魂の欺きたる金の装飾を拝まず、
すべて神の息を受けたものの大いなる父、神を、
聖なる犠牲と冒頭牛とによって尊んだからである。
しかし今や、名もない、汚れた王が昇ってきて
5.410
この地を倒し、大群集と名ある兵士らとともに、住む者なき所と変えて去ったのである。
けれども彼みずからは(永遠の地から不毛の地(イタリア)に足を踏み入れた時)滅んだ。
そして他の人々が大いなる町を滅ぼそうと考えるに至るような、そのようなしるしは、人々の問になされなかった。

なぜなら天の面から祝福された人が来たからである。
彼は手に第を携えていたが、それは神が彼に与えられたのである。
彼はすべての者を正しく治め、すべての善き者には、以前の人々が奪った富を返してやったのである。
また彼は強い火によってすべての町を礎から荒らし、
かつて悪を行なっていた者らの群れを焦がした。
5.420
神が慕いたもうた町、その町を彼(メシア)は
星や太陽や月よりも輝かせ、
またこれを飾りとし、聖く、姿があり、善く、はなはだ美しい〔住まい〕とされた。また彼(メシア)は(この町に)
非常な高さの、果ての見えぬ櫓を建造された。
これは雲にまで達し、すべてのものの限に見え、
こうしてすべて信仰或る者、義しい者は
永久の神の栄光と慕わしい姿とを見たのであった。
東(の人々)も西(の人々)も神の栄光を讃美した。
なぜならもう哀れな人間に恐ろしいことが臨むことはなく、
5.430
姦淫も不時な少年愛も
殺人も騒乱もなく、義しい競争がすべての人の間にあるからである。
終わりに聖徒らの時が来るだろう。これらのことを完成なさるのは、
高きに雷霆を轟かす神、最大の神殿の建築者なるかた。

ああ、ああ、汝バビロン、黄金の御座に坐し、黄金の鞋履く〔バビロン〕よ、
ただひとり、長い年月、世界を統治せる女王、
古より大いなる、あらゆる都市に冠たる都市〔であるおまえ〕も、もはや
黄金の山やエウフラテスの流れのほとりにたたずんではいないだろう。
おまえは地震の震動によって低くされるだろう。恐ろしいパルティア人がおまえを、
何かにつけて征伐させたからである。ロにくつわをつけよ、不浄なる
5.440
カルディアの族民よ、問うなかれ、思い煩うなかれ。
いかにペルシア人を支配し、*また*いかにメーディア人を統治しようかと。
なぜなら、おまえが握ってきた支配のゆえに、おまえは、人質と、
かつてアジアのために賃働きしてきた者たちを、ローマに送り、
*このゆえに倣慢な女王たるおまえみずから、訴訟相手の
裁判にやってくるであろう。その敵のためにおまえは身代金を送り届けたのだが*。
そしておまえは数々の曲った勘定の代償として、つらい勘定を敵に支払うだろう。

さて終わりの時には海が乾き、
もうイタリアに航海する船もないだろう。
またその時には(すべてを産する)大いなるアジアが水となり、
5.450
クレタは野となるだろう。キプロスは大いなる悲しみを抱き、
パフオスは恐ろしい運命を嘆き、こうして、
大な町サラミスさえ自分が大いなる悲しみを受けたことを知るであろう。
今や不毛の乾燥地がふたたび海辺にまで至るだろう。
小さくはない蛙がキプロスの地を荒らし尽くすだろう。
ツロを見て、哀れな定めの者よ、おまえたちは泣き悲しむだろう。
フェニキアよ、恐ろしい憤激がおまえを待ち受けている。そしておまえはついに 激しく崩壊するだろう。するとセイレソたちはいたく泣き悲しむだろう。

第五の世代に至ってエジプトの破壊が終わり、
恥知らずな王らが〔互いに〕交わる時が来るだろう。
5.460
またパンフリアの語族はエジプトに下って住むだろう。
ケドニアとアジアと(リビヤ人)の間では、
世界を狂気にする、血で砂を浸すほどの戦争が(起きるだろう)。
この戦争はローマの王と西の君主たちが鎮めるだろう。

雪の湿った冬の嵐が吹きすさぶ時、
大きな川も広大な湖も凍結すると、
たちまち夷狭の群れがアジアの地をみまい、
トラキア人の恐ろしい部族を赤子の手をひねるように滅ぼすだろう。
そしてその時には、心くじかれた人々が飢えのゆえに
憮倖しつつなお親を食い、その肉をむさぼるだろう。
5.470
すると屋根という屋根から野の獣が食卓を荒らし、
猛禽がありとあらゆる人間を食い散らすだろう。
また血に染んだ海はひどい戦争によって、
愚かな者らの肉と血で満ちるだろう。
その後、地にはかくも脱力感が広がり、
男の数も女の数も知ることができるだろう。

数知れぬほどの哀れな語族は地の果てにまで泣き叫ぶだろう。
七日がもうふたたび上らぬために沈み、
大洋の水に浸されるのを待っている時に。
なぜなら日は多くの人々の汚れた悪事を見たからである。
5.480
そして広い天にも闇夜があり、
浅くはない晴闇が世界のひだをふたたび覆うだろう。
そののち神の光が、
神を讃えた善き人々を導くだろう。

イシス、三重に惨めな女神よ。おまえはナイルのほとりに、
ただひとりでとどまるだろう。アケロンの砂浜に〔立つ〕、ことばもなく狂える女よ。
もういかなる地にもおまえの記憶はとどめられないだろう。
また汝、多くの削られていない石を負わせられたサラピスよ、
三重に惨めなエジプトにおけるもっとも激しい災疫が(おまえのために)備えられるだろう。
エジプトの岸でおまえへの恋慕を抱いていた者は皆、
5.490
おまえのことをいたく泣き悲しむだろう。その時彼らは不滅の神を胸に受ける。
神を讃えた者らはおまえが無であることを知るだろう。

それからある日、祭司の中のひとりで麻をまとった者が言うだろう。
「さあ真の神の美しい神殿を建てよう。
さあ先祖から伝わる恐ろしいならわしを変えよう。
そのならわしによって石や陶器の神々に勤めと儀式とを行なっていた者らは〔何も〕理解していなかったのだ。
不滅の神をたたえつつ心を改めようではないか。
父なるかた、永遠から在るかた、
万物の主なるかた、真理なるかた、王なるかた、
5.500
すなわち命をささえる父、永遠にいます大いなる神を〔たたえつつ〕」と。
その日にはエジプトに荘大な、聖い神殿が立つだろう。
また神から生まれた民はそこへと犠牲を携えて行くだろう。
不滅の神は彼らに生きることを許されるだろう。

しかしトリバリ人の恥知らずな族を捨てて、悪玉エチオピア人が〔エジプトの地を〕耕すために〔とどまる〕時、
彼らは、残りのすべてのことが起こるために、悪を始めるだろう。
なぜなら彼らはエジプトの地にある大いなる神殿を略奪するであろうからである。
すると神は彼らに対し、地に向かって恐ろしい怒りの雨を降らせられ、
こうしてすべての悪しき者とすべての不法な者とを滅ぼされるであろう。
5.510
そしてもはやかの地には絶対にいかなる手控えもされないだろう。
なぜなら彼らは神が自分たちに与えてくださったものを守らなかったからである。

わたしは星の中に、輝く太陽の脅しを見、
また雷光の中に、月の恐ろしい怒りを見た。
星々は苦しみながら戦っていた。神は〔星々の〕戦うにまかせられた。
すなわち太陽に代わって長い火焔が反逆を起こし、
また月の両角は〔円輪〕に変じた。
明けの明星は「獅子」に乗って戦いを起こした。
「山羊」は若い「牡牛」の脛を打った。
すると「牡牛」は「山羊」の帰還の日を奪った。
5.520
「オリオン」は「天秤」がそれ以上とどまらぬように取り除いた。
「乙女」は「雄羊」にある「双子」の領分を変ぜしめた。
「スバル」はもう現われなかった。「竜」は「帯」を拒否した。
「魚」は「獅子」の帯の中にはいった。
「蟹」は耐えられなかった。なぜなら「オリオン」を恐れたからである。
「蠍」は〔一層倍荒々しい〕「獅子」の〔尾に〕登った。
また「犬」は太陽の炎によって滅んだ。
力ある明けの明星の勢いが「水瓶」を焼いた。
ウラノスみずから、兵士らを震わせるほど〔の勢いで〕騒ぎ立った。
彼は立腹して兵士らをまっさかさまに地に投げつけた。
5.530
すると〔今度は〕彼らはたちまちオケアノスの水槽に叩き込まれ、
全地に火をつけた。天空はいつまでも星の出ないままであった。

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