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back.gifシビュラの託宣・第8巻(1/2)

原始キリスト教世界

シビュラの託宣

第8巻(2/2)



彼の原型となったのがモーセで、〔モーセは〕聖なる腕をさし伸ばし、
信仰によってアマレク人に勝ってた。それは、民が知るためである —
父なる神のかたわらで、選ばれ、尊敬をうけておられるということを。
ダビデの笏、また彼が置いた石が、
彼を信じる者は、永遠の生命を持つであろう。

しかし彼は栄光の中にではなく、はかなき〔人間〕として、被造界に来られるであろう、
あわれで、不名誉な、無様な〔姿〕で。それは、あわれな人々に希望を与えるためである。
そして彼は朽つべき肉に形を、不信仰な者たちに天的な
信仰をお与えになり、初めに神の聖なる手によって
8.260
創られた人間を、形づくりおえられるであろう。
蛇は人間を狡猾な仕方で騙し、それが死の運命に至り、
善悪の知識を持つようにし、また
その結果、神を捨て、死すべき本質を拝するようにした。 —
全能者はあのかたを初めから、何よりも先に相談相手として
うけ入れて、〔次のように〕言われた。「子よ、われわれふたりは
われわれの像を模して、はかなき部族をつくろう。
今はわたしが手をもって、次にはしかしあなたが言葉をもって、
われわれの形の世話をし、共同の作品をつくろう」。
彼はこの決定を覚えつつ、被造界に来て、
8.270
〔自分の姿に〕対応する似姿を聖なる処女の中に持ちこみ、
水〔=洗礼〕によって、また同時に先輩の手によって光り輝き、
すべてのことを言葉によって行ない、すべての病気をお癒しになるであろう。
彼はまた、言葉によって風をやませ、荒れ狂う海を
平和の足をもって、かつ信仰を抱いて歩むことによって、平らにするであろう。
また彼は、五つのパンおよび一匹の海魚によって、
荒野において五〇〇〇人の人を満腹させ、
そのとき、余った食べを皆集めて、
一二の籠をみたされる。それが諸民族にとっての希望となるであろう。
彼はまた、幸福な人々の魂を招き、みじめな人々を歓愛なさるであろう。
8.280
この人たちは、嘲笑されながらも、悪に報いるに善をもってし、
打たれ、笞をあてられながらも、貧乏を慕っている人たちである。
彼はすペてをさとり、すべてを見、すべてに耳を傾けながら、
人々の心の底まで見つめ、吟味のために裸になさるであろう。
彼ご自身は、すべてのものの聴覚、理性、視覚であり、
数々の形を創造した言葉、万物が聴き従う、言葉であり、
死者を救う者、あらゆる病気を癒す者であられる。
しかし、のちに彼は無法な者たち、不信仰な人たちの手にわたされ、
彼らは不浄な手で神に打擲を加え、
穢れたロで毒を吐きかけるであろう。
8.290
そのとき彼は〔着衣を〕脱いで背を筈打たせられるであろう。
[というのは、彼ご自身がこの世に聖なる処女をおわたしになるであろうから。]
また彼は殴られながらも沈黙をお守りになるので、だれも、彼が
誰であり、誰の子であり、どこから来たかを知ることはできないであろう。それは、死人た
ちにお語りかけになるためである。
それから彼は茨の冠をおつけになるであろう。茨でつくられたこ宝冠は、選ばれたものたちにとっての永遠の奉納物である。
彼らはまた、自分たちの法律に従って、葦の棒で彼の脇腹をつくであろう。
*別の*霊によってゆり動かされる葦の棒により、
*魂に対する*怒りと報復との審判に向けて、彼は育てられた。 —
しかし、わたしの語ったことがすべて成就するときには、
8.300
不従順な民のゆえに、命令という形で人間たちに初めから与えられた律法全体は、
彼へと解消する。彼は手をひろげて、全世界をお測りになるであろう。
「彼らは食物として胆汁を、飲むために酢を与えた」。
このようなもてなしの悪い食卓を彼らは〔彼に〕提供するであろう。
神殿の垂れ幕は二分され、昼の日中に
三時間にわたり、この上もなく暗い、物すごい夜があるであろう。
8.307
つまり、秘密の律法により、また神殿で、この世の諸事象に
もはやひそかに礼拝を献げるべきでないことが、永遠の
主が地上に下られたに際し、示された。
8.310
彼は黄泉に行き、すべての聖徒たちに希望と、
世の終わりおよび最後の日について告げ、
また、三日間眠ることによって、死の運命を完成なさるであろう。
それから彼は、死者たちのところを去って、光へと来、
最初のものとして、復活の始めを召された人々に示し、
不死の泉の光で(彼らの)以前の邪悪を洗い流してくださるであろう。それは、彼らが新たに生まれ、
もはやこの世の不法な習慣に従わなくなるためである。
主は以前の通りの肉の形で、まず御自分の仲間たちによってはっきりと見られる。そして、手と足に、
8.320
御自身の肢体に開けられた四つの傷あとをお示しになるであろう。
〔その傷あとは〕東、西、南、北〔の国々である〕。
そんなにも多くのこの世の王国が、
不法で恥ずべき行ないを完成して、わたしたちの模範となるのである。

喜ベ、聖なる娘、.....多くを受苦してきたシオーンよ。
おまえの王御自身が、ろばに乗ってやって来られる。
*彼はすべての人に柔和に見える。わたしたちの軛* —
頸の上にある荷ないがたい奴隷の〔軛〕を取り去り、
神なき規定と、猛々しい縄目とをとり払ってくださる。
このかた、神の子であるこのかたを、おまえの神と認めなさい。
8.330
このかたをあがめ、胸の中に持ち続け、
心から愛しなさい。また、彼の名を伝えなさい。
以前の(罪)を捨て、彼の血によって洗い清めなさい。
彼はおまえの歌や祈りによって宥められることはなく、
御自身ほろびることのないものとして、ほろびゆく犠牲には目をお向けにならない。
おまえたちは知恵あるロをもって讃歌を歌い、
このかたがどなたであるかを知りなさい。そうすれば、おまえは生みの御親を見ることができるであろう。
8.336
  *   *
8.336
   *
そのとき、この世のすべての要素、
空気、大地、海、輝く火はなくなるであろう。
そして、天軸と夜とすべての日とは
8.340
一つに、まったき荒廃の姿に合流するであろう。
発光体の星は皆、天から落ちるであろう。
もはや、よい翼をもつ鳥たちが天空を飛ぶことはなくなろう。
また、大地の台座もなくなろう。獣は皆ほろびるであろう。
人の声も、獣の声も、鳥の声も聞かれない。
世界は無秩序となり、有用な音を聞くことはなくなる。
しかし、深い海は脅威的な大きな響きを発し、
海の泳ぐ生き物は恐れにふるえ、みな死ぬであろう。
荷を乗せた船が波の上を航海することももはやなくなろう。
大地は戦争の血で血だらけにされて、轟くであろう。
8.350
人間どもの魂はみな歯ぎしりをするであろう。
[不法な*魂たちの*哀哭と恐れからである]。
〔魂たちは〕渇きと飢え、疫病と殺人とによって憔悴し、
死ぬことを美いことと呼ぶが、〔しかし死のほうが〕彼らから逃げて行くであろう。
というのは、死が、そして夜が、彼らを休ませることはもうないであろう。
彼らはいと高きところで統治したもう神に向かってたくさんのことを頼むが、無駄であり、
神はその顔を明らかに彼らからお背けになるであろう。
というのは、七世日の悔い改めの日を与えて来られたからである。
迷っている人々に、聖なる処女の手を通して。

神はご自身で、わたしの心にこれらすべてのことをお示しになったが、
8.360
わたしのロを通して言われたことすべてを、彼は成就されるであろう。
「わたしは砂の数と海の広さとを知っており、
地の深奥と、暗いタルクロスとを知っており、
星の数と木々を知っており、また、どの位の種類の
四足獣、泳ぐ生物、飛ぶ鳥、
今いる声を分けて語る者ら、また将来の者ら、および死人がいるかを知っている。
わたしはみずから人々の形と思いとを形作り、
正しい言葉を与え、理解の術を教えた。
わたしは目と耳とを作ったものとして、〔自分でも〕見ており、聞いており、
あらゆる思いを考察し、すべての人にとってともに知るものである。
8.370
わたしは〔人の〕内部にあって沈黙しており、あとでみずから吟味をしよう。
[そして、はかなき者らの誰かがかくれて行なったことと.....すべてに対し報いを与え、
神の法座の前に*来て*、死ぬべき者らに向かって語ろう。] わたしは唖者〔の言葉〕も理解でき、声を発しないもの〔の声〕も聞くことができる。
また、大地から天の高みまで、全体でどれほどあるか、また
それの初めと終わりとを知っている。天と地とを創ったのはわたしだからである。
[万物は彼から出、彼は初めから終わりに至る(すべての)ものを知っておられる]。
というのは、わたしだけが神であり、はかには神はいないからである。
彼らはわたしの像を物質でつくってそれを公に定め、
自分たちのために物言わぬ偶像を手で作り、
8.380
祈りと不浄な祭礼とによってそれを崇める。
創造者〔であるわたし〕を捨て、彼らは色情に仕え、
*すべてのものをわたしから*うけとっていながら、役に立たない〔偶像〕に贈り物をし、
そしてそれらすべてを、*わたしの名誉となるものとして*、有用であると見なし、
自分たちの死人たちに対するがごとく、饗宴を設けて犠牲の油っぼい香りをたてる。
彼らは肉と髄のつまった骨とを焼いて
祭壇に供儀し、ダイモーンたちのために〔犠牲の〕血を注ぎ、
光を与えたこのわたしのために燈火を手にし、
死すべきものでありながら、あたかも神が渇いているかのようにぶどう酒を潅ぎ、
役に立たない偶像のために、無益にも酩酊する。
8.390
わたしはおまえたちの犠牲と濯祭とを必要としないし、
穢れた犠牲の香りも、憎むべき血も必要としない。
彼らはこれらのことを王たち、僭主たちの記念のために、
死せるダイモーンたちに向かって、あたかも彼らが天にいるかのように、行なうであろう。
〔このようにして〕彼らは神なき破壊的な祭礼を遂行するのである。
彼らはまた、不信仰にも彼らの像を神々と呼び、
創造主を捨てて、それらからあらゆる希望と
生命とを得られると考え、聞くことも語ることもできないそれらに
信頼をして、悲惨な結末に至る。それらはよい結末を知らない〔からである〕。
わたし自身は、生命の道と死の道という二つの道をおき、
8.400
よい生命を選ぶよう、〔彼らの〕知性に命じた。
しかし、彼ら自身は死と永遠の火の中へと飛びこんだ。
人間はまっすぐな言葉を与えられた、わたしの像である。
おまえはこのものに、清い、血で汚れていない食卓を供えて、
よいものでみたし、貧しい者にパンを、
渇く者に飲み物を、裸の身体には衣服を与え、
自分自身の困難の中から聖い手でそれらを捏供しなさい。
圧迫されているものの味方となり、抑圧されているものの側に立ち、〔そのようにして〕
生けるものであるわたしに生ける犠牲を献げなさい。
今は水の中に種を播きなさい。そうすればわたしもおまえに
8.410
不死の果を与えよう。またおまえは永遠の光を、
色あせることのない生命を持つであろう。火によってわたしがすべての人を吟味するときに。
わたしはすべてのものを溶解し、浄いものを選別し、
天を旋回させ、大地の奥底を開くであろう。
それから死人たちを、運命と死の棘とから解放して復活させるであろう。
またその後、審判に来て、
信仰ある人問、不信心な人間の生をさばくであろう。
またわたしは、小羊を小羊に、羊飼いを羊飼いに、
牡牛を牡牛に、互いに間近くおいて、吟味をしよう。
高くあげられ、吟味によって吟味されるとき、
8.420
ねたみにみちて、聖く行動した人たちを
同じように隷属に至らせるために、すべてのロを閉じ、
沈黙を命じ、利益を熱心に求める人々は、
そのときには皆、わたしの審判に赴かなければならない。
さて、おまえはもはや悲しんで、「あすはそうなるだろう」とか、
「きのうはそうだった」とは言わないであろう。また、何日にもわたって心配することもなくなろう。
春も冬も、夏も秋もなく、
日の出も日の入りもない。わたしが長い一日を作るからである。
光は..........永遠に慕われるであろう。
8.428
......................................................................
ご自身で生まれ、清浄無垢であり、常に栄え、永遠に存する彼は、
8.430
力によって天を支え、火の息をはかり、
雷鳴の王杖を荒々しい稲妻ともども引きとめ、
高くひびきわたる雷の音をやわらげ、
大地を駆り立てながら〔   〕どよめきを抑え、
火の煩を伴う稲妻の災厄をゆるめ、
大雨の物凄い土砂降りと降電、
耳の氷のような吹きつけと嵐の激しい動きを抑えておられる。
8.436
.....................................................................
彼ら自身は、(それを)行なうことがあなたご自身によしと見え、
あなたが肯かれるもの、すべてを一つ一つ理性によって選び出す。
8.438
あらゆる創造の前に、あなたの子はあなたの相談役として、同じ胸から
8.440
生まれた。彼は人間を作ったもの、生を創ったものである。
彼に向かって、あなたはロを開き、まず快い声をもって語りかけた。
「見よ。われわれの姿にまったく等しいひとりの人を作り、
彼が生命を支える息を持つようにしよう。
彼は死すべきものであるが、すべてのこの世のものは彼に仕えるであろう。
泥によって作られた彼に万物を服させよう」。
あなたはロゴスに向かってこのように言われた。そして、あなたの思いに従って、すべてのことが起こった。
すべての要素は立ちどころにあなたの命令に従い、
永遠の被造物は死すべき体に合わせられた。
天、空気、火、地、海の流れ、
8.450
太陽、月、星の群、山々 〔    〕
夜、昼、眠り、目覚め、生命の息吹きと欲望、
魂、賢明さ、技芸、声と力、
8.453
動物の野性の種族、(つまり)泳ぐ動物、飛ぶ動物、
陸生動物、両棲動物、爬虫類、両性動物の諸種族、
これらすべてのものを彼があなたといっしょに、あなたの裁断のもとに、お整えになった。

最後の時に、地が替わり、幼児が
処女マリアの胎から来たりて、新しい光を昇らせ、
天から来て、はかなき〔人間の〕形を着られた。
もちろん初めは、ガブリエルの力強い聖なる姿形が示された。
8.460
次いで大天使は乙女に語りかけて、次のように言った。
「処女よ、そなたの清浄無垢な胸で神を受けなさい」。
このように語って、神は乙女に*永遠の*恵みを吹きこまれた。
しかし、(そのことを)聞いた彼女を、恐れと驚きとがとらえ、
役女は震えて立ちすくんだ。予期しなかった告知によって、
(彼女の)思いは恐れを抱き、心はゆれた。
しかし、その言葉によって、彼女は一転して喜び、その心はいやされて、
花嫁らしく笑い、その頼を染め、
また喜びにあふれ、恥じらいによりその心をとらえられた。
そして勇気が彼女にやって来た。言葉は(彼女の)胎に飛び入り、
8.470
時を経て肉となり、(彼女の)お腹で(地上の)生命を与えられ、
人間の形に形づくられ、処女の出産により、幼な児として生まれた。
それは人々にとって大きな驚きであったが、
父なる神、子なる神にとっては、少しも大きな驚きではなかった。
生まれた赤児に向かって、大地は喜んで飛び上がり、
天の御座は笑い、この世は小躍りした。
新しくあらわれた予言の星は賢者たちの崇敬をうけ、
生まれた赤児は株槽のところで、神に従順な人々、
牛飼い、山羊飼い、羊飼いたちに示された。
そして、べツレヘムは神に呼ばれるロゴスの祖国と言われた。
8.479
  *   *
8.479
   *
8.480
心において謙遜であり、冷酷な目標を憎み、
すべてのものの隣人を、自分自身のように愛しなさい。
神を心から愛し、彼に礼拝を献げなさい。
それゆえにわたしたちは、キリストの聖なる
天的な家族から生まれ、血縁と呼ばれ、
喜びの祭儀について記憶し
敬虔で真正の道を歩む。
神殿の至聖所に近づくことは、わたしたちにはもはや許されていない。
偶像に寄進したり、誓いをたてて〔それを〕敬ったり、
花の香りや、燈明の喜びにみちた光で〔それをしたり〕、
8.490
呪われたものでそれらを飾ってはならない。
乳香の香りで祭壇の焔をともしてはならない。
また、牡牛の犠牲に殺した羊の血をかけて、
購いの供え物とし、地上の罰を和げようとしたり、
肉を食いつくす火から出る、油っぼい煙と
汚れた風とで、天空の光線を汚してはならない。
むしろ、純粋な思いと楽しい気分とで喜びつつ、
豊かな愛と物惜しみしない手、
優しい讃美の声と神にふさわしい歌とをもって、
絶えず、偽りを混じえずにあなたに讃美を献げるよう、われわれは呼びかけられている。
8.500
すべての産みの親である、知恵にみちる神に...........。
8.500
  *   *
8.500
   *

2010.06.26.

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