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原始キリスト教世界

シビュラの託宣

第13巻



13."T1"

シビュラの託宣・第13巻

13.1
大いなる神的な言葉をわたしが歌うようお命じになる……*
不滅の聖なる不死の神、王たちに
権力を与えつ奪い去りつ、見よ、生とおぞましき死との
両方の時を彼らにお定めになった方が、
そしてこの事をば、天なる神は、わたしが心ならずも
王者の支配について王たちに報告するよう駆りたてられる。

13.6
     *     *
13.6
       *
そして勢い烈しいアレース[142]は槍を……。その所為で万人が滅ぶ、
小童も、市場の人々に立法する者も。
なぜなら、数多の戦争、諍い、殺人、はたまた
13.10
飢饉、疫病、地震にすさまじい稲妻
アッシリア人どもの数々の振る舞い、
あるいは掠奪や神殿荒らしが全世界に〔満ちる〕からだ。

そのときこそ、抜け目ないペルシア人たちの叛乱が〔起こるだろう〕、
インド人たちのも、アルメニア人たちのも、アラビア人たちのも同時に。そしてこの者どもに
戦争に飽くことなきローマの王[143]が攻め寄せる、
槍兵たちを率いてアッシリア人たちに向かっても、若きアレースが:
しずかに淀み銀の渦巻くエウプラテース河までも
いくさ好めるアレースは槍の穂先を伸ばし遣る、
……ゆえに:というのも、同志に裏切られ、
13.20
戦列の中できらめく武器に撃たれて倒れ伏すであろうゆえに。

だがたちまち今度支配するは、紫を愛する槍武者にして、
シリアから現れた[144]、アレースの恐怖、してまたその息子
カイサルによっても、全土を蹂躙するであろう:その名は、彼ら
二人でひとつになる:〔つまり〕1と20の上に
500を置くことができる。だが、この者たちが
戦争を支配し、立法者となるとき、
わずかな — 長くはない — があるだろう:
しかしながら狼が羊の群と、白い牙もつ犬どもに掛けて
誓いを立るとき、次いで明らかになるのは、
13.30
房毛の羊どもを害したうえで、だがその誓いを投げ棄てることであろう:
そしてそのとき、身の程知らずの王たちの無法な戦いが
戦争のさなかにあり、シリア人たちは手ひどくやっつけられ、
インドイ人たちもアルメニア人たちも、アラビア人たち、ペルシア人たち、バビュローン人たちも。
強烈な合戦で互いを滅ぼすだろう。

しかるにローマのアレースが、ひとの命を害うゲルマンの
アレースを、大洋で勝利して滅ぼすとき、
そのときこそペルシア人たち、身の程知らずの者どもとの
長い年月にわたる戦争があるが、勝利は彼らにない:
何となれば、屋上屋を重ね、風にさらされる高く
13.40
険しい岩稜の先で魚は泳ぐことなく、
亀も飛翔することなく、鷲は水中を泳ぐことがない如く、
そのように、ペルシア人たちも勝利からは遠いのである、
イタリア人たちの愛しい養い親[145]が、ナイル河の平野、
       定めの水の畔で、七つの丘のローマに季節の分け前を移送する日には。
して、以上は定命である:で、ローマは、評決される時の数を
その名が有するかぎりは、それだけの年月の間、
喜んでおまえに糧食を送りつけるだろう、
マケドニアの領主の大いなる都市を介して。

13.50
そして、アッシリア人たちに大いなる神の怒りが到来し、
彼らを山の雪解け水が根絶やしにし、これはカイサルの
城市に至って、カナン人たちに不正するだろう。

ピュラモス河はモプソスの都市を潤し、アイガイオイ人たちは
そこで滅びるだろう、驕り高ぶる人間どもの闘いの故に。

哀れなアンティオケイアよ、汝をおぞましいアレースが見逃すことはない、
13.60
アッシリアの戦争がおまえのまわりに殺到するときには:
なぜなら、おまえの館に戦士たちの将が住まいする故に、
矢射るペルシア人たちすべてに敵対し、
自らはローマ人たちの王支配を握る者が。

今は飾りたてるがよい、アラビアの都市都市よ、諸々の神殿でまた競技場で
13.65
あるいは広き市場で、光り輝く富で、
はたまた金や銀やあるいは象牙の彫像で:
だが、いずれの都市にもましてとりわけてまさに博学なる
ボストラとピリッポポリスよ、汝は大いなる嘆きに陥るであろう、
獣帯軌道の高笑いする球体が
13.70
益することないからである、白羊宮が、金牛宮が、双児宮が、また、
あるいはそれらとともに天界に立ち現れるかぎりの
時の分割者たる星々が、哀れなる者よ、おまえが信を置いた数多の者らに、

そこで今は、戦い好むアレクサンドリア人たちのために歌おう、
恐ろしさこの上ない戦争のことを:もちろん、数多の民が滅びるのである、
諸々の町が敵対する市民たちのせいで滅びるときに、
おぞましい争いのせいで戦うときに、彼らの周りには
身の毛もよだつアレースが馳せ参じて戦闘を止めさせよう。ー
そしてその時には、今度は意気盛んな男が強い息子もろともに、
13.80
老王によって策に嵌められて倒れ伏すだろう。
 彼の後、繁栄の強国ローマを支配するのは、
意気盛んな別の君にして、戦争の仕方に精通したる、
ダキア人たちから上ってきた者、その数300[146]
第四の角から成るが、多くの者たちを亡き者にするだろう、
そのとき特に、兄弟たち、友たちをすべて
王は破滅させるであろう、そして王も死を遂げよう:
そしてただちにまた掠奪、殺戮が、前王のせいで突如起こるだろう。

それから、狡猾な男が支配の座に就くとき、
13.90
盗賊[147]がシリアから現れ、それは無名のローマ人であるが、
企みをもってカッパドキア人たちの種族に接近し、
飽くことなき戦争に攻囲されるがままになる、
そのときこそ、テュアナとマザカよ、汝に捕囚があろう:
奴隷奉公し、その首を軛の下に据えるだろう:
そしてシリアは、滅びる人間どものために嘆くが、
そのとき月の女神が聖なる街を救うこともない。
〔だが〕ローマ人たちよりも早くシリアから逃れ、
エウプラテースの流れのほとりに避難所を定めるときには、
もはやローマ人たちに似ることなく、武者ぶりすぐれた
13.100
矢射るペルシア人たちに似るときには、イタリア人たちの統治者[148]は、
光り輝く鉄の刃に撃たれて戦列の中に、世界はそのままにして、
倒れ伏す:彼に続いては子どもたちも滅びるだろう。

しかるにローマの別の王[149]が王支配するときには、
その時こそローマ人たちに定めなき族民どもが到来する、
禍々しいアレースが庶子の子とともにローマの城壁の上に。
まさにその時こそ、飢え、疫病、燃えさかる雷火と、
恐ろしい戦争、また都市の騒乱が
突如起こるだろう:で、シリア人たちはみごとに破滅する:
この者たちには至高者の大いなる怒りが、
13.110
勤勉なペルシア人たちの叛乱がまっしぐらに到来し、
シリア人たちがペルシア人たちと混じってローマ人たちを滅ぼすからである:
とはいえしかし、神のはかりごとに打ち勝つことはない。
 ああ、いかほどの者たちが東方へと逃れることであろうか、
自分たちの財産を伴って、言語の違う人間どものところへと:
ああ、いかほどの人間どもの黒い血が大地に流れることか:
この時である、死者たちに生者たちが祝福の辞を述べるのは、
死は美しく、それから逃れるだろう、と。

今こそ汝を、哀れなシリアよ、悲しみ嘆こう:
13.120
矢射る人間どもの恐るべき打撃も汝に到来するであろう、
汝に襲いかかるとはかつて思いもしなかった打撃が。
またローマの亡命者[150]も、大槍を引っつかんで、無量無数の者たちと同時に
エウプラテース河を越えて到来するだろう、
汝を焼き尽くし、万事を悪化させんとする者が。

哀れなアンティオケイアよ、彼らがおまえを都市と呼ぶことは決してない、
おまえの無慎慮のせいで、おまえが槍の下に陥るときには:
して、万事を剥ぎ取って裸とし、屋根なし家なしとして
おまえを置き去りにするだろう:そしておまえを目にした者は、突如泣くだろう。
おまえも勝利者であろう、ヒエラポリスよ、おまえも、ベロイアよ:

13.130
近頃傷ついた我が子のためにカルキスを泣け。
 ああ、いかほどの者たちが……高きカシウス山に住み、
いかほどの者たちがアマノス山に、またいかほどの者たちをリュコス河が水没させ、
いかほどの者たちをマルシュアース河が、また白銀渦巻くピュラモスが〔水没させることか〕:
なぜなら、アシアの果てまでも戦利品を蓄え、
町々を裸にし、ありとあらゆる偶像を奪い取り、
諸々の神殿を稔り豊かな大地に投げ棄てるだろう。
 そしてその時、ガッリエーに、パンノイエーに、ミュシア人たちと、
ビテュニア人たちにも、大いなる禍害があるだろう、戦士が到来する時に。
 おお、リュキア人たちよ、リュキア人たちよ、狼が血を舐めるためにやって来よう、
13.140
サンノイ人たちが、城の陥し手アレースとともに到来し、
またカルポイ人たちが戦闘すべくアウソニア人たちのもとに接近するときに。

そしてその時こそ、庶子の息子が恥知らずな蛮勇もて
王を根絶やしにするが、自らもたちまち滅びるであろう、
涜神のせいで:しかしその後、またもや別の者が支配するだろう、
名前に第一字母をとる者[151]が:だがまたもや直ぐに倒れるであろう、
強いアレースに、光りかがよう鉄の刃に、撃たれて。
 そして再び秩序〔世界〕は無秩序となる、滅びゆく人間どもの
疫病と戦争とによって。しかしペルシア人たち[152]が、アレースの怒りのせいで、
此度はアウソニア人たちに遺恨をもって、襲いかかるだろう。
13.150
 そしてそのとき、ローマ人たちの逃走があるだろう:なおまたそのうえ
太陽の遣わす最後の祭司[153]がシリアから
貴顕としてやって来て、企みによって万事をやってのけるだろう。
そしてそのときには、太陽の都が起こるだろう:はたせるかな、そのまわりには、
ペルシア人たちがポイニキアの恐怖を脅迫として挑むだろう。

だが、今度は驕り高ぶるローマ人たちを、二人の
戦いに敏捷な頭領たちが支配するだろう:ひとりは
数にして70を持し、ひとりは3[154]
を数えよう:
そしてそのときには、項(うなじ)高き牡牛さえ蹄で大地を
掘り、両の角で塵埃を巻き起こし、
13.160
地を這う青黒い生き物[155]の皮に、数々の悪しき事どもを見舞う──
甲鱗で行跡を曳くのだ:かてて加えて、自らは滅びる。
だが、その後、角麗しい別の牡鹿[156]が再び到来するだろう、
山域に飢え、有毒な野獣どもの胃袋を養うべく
探し求めていた者が:その時、太陽に遣された者がやってこよう、
恐るべき恐怖に満ちた牡鹿[157]が再び到来するだろう、
獅子[157]にして、数多の火を吐くのが。
まさにその時、数多の恥知らずな蛮行によってまたもや滅ぼすであろう、
角麗しき俊足の鹿や、有毒な最大の獣を。恐ろしさのあまり、数多の笛の音や、
蟹股歩きの牡山羊[158]を送るのだが、彼には、栄誉が付き従う:
13.170
自身はまさしく完全、無疵で近寄りがたい者として、
ローマ人たちを支配するが、ペルシア人たちの方は衰えるだろう。

しかし主よ、世界の王よ、神よ、我らの言の葉の
歌を止めたまえ、して、おくゆかしい音節を与えたまえ。

2021.11.18.

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