シビュラの託宣・第11巻
					
					 
					 
					12."T1" 
						シビュラの託宣・第12巻 
					12.1 
						されど、いざ、ラティウムの子らの呻きに満ちた時代を我に聞くがよい: 
						いかさま、先ず真っ先に、エジプトの王たちが 
						滅んだ後を。 
					彼らすべてを等しく地下へと送り、 
						ペッレースの町衆の後  彼らのもとに、東方 
						すべてと、多幸の西が投げ棄てられ、 
						これをバビュローンは蔑ろにしたが、死体はピリッポスに差し伸べたのだ、 
						(真実が予言されたのは、ゼウスによってでなく、アムモーンによってでないが)、 
						また、アッサルコスの一族と血統の者の後    
						彼はトロイエーからやって来た、何しろ火の勢いを押し分けたような者だが、 
						12.10 
						また、数多の領主たちの後、つまり、アレースに親しい者たちの後、 
						また、小童(こわっぱ)たち、つまり羊喰う野獣の子どもらの後、 
						また、6の100倍の年数を経て 
						ローマの独裁制が2の10倍続いた時に、 
						初代の領主が西方の海から、 
						ローマを統治する、大いなる猛者あるいは武人であって、 
						 字母の初め〔Α〕を抽籤した者[120]で、おまえを枷にかける者だが、 
						人殺しアレースに凝り固まることであろう、繁栄するものよ: 
						おまえは非難の種をひけらかすだろうが、それこそおまえがすすんで優先したものだ: 
						なぜなら、戦争において自分から意気盛んな最善者となるだろうから: 
						12.20 
						これを、トレーケーとシケリエーが、メムピストともに、挫くだろう、 
						メムピスは、嚮導者たちの、あるいは、槍の下に陥った非奴隷の女の 
						劣悪さゆえに転覆されて: 
						そして諸々の掟を民人たちに定め、万事を従わせるだろう: 
						王笏という強力な栄誉を持って久しく覇権を握るだろう: 
						なぜなら、彼が持続するのはわずかな期間ではなく、この者以上に、 
						王笏たもつ王はかつてなく、ローマ人たちのそれは 
						わずかな時期ではない、万事を神がこの者のために頷かれたからである: 
						[そして特にまた、大いなる神的な時節を聖(とうと)い地に 
						お示しになったのだが、それらの上には徴をお示しになった。 
						12.30 
						 しかしながら、 星[121]がまるで太陽のように明るく、 
						昼日中、天上から照り輝くとき、 
						まさしくその時に、至高者の隠された ロゴス[122]が、可視的な者らに等しい 
						肉をまとってやって来るだろう:だがそれとともに、 
						ローマと名高きラティノイ人たちの強さを増すであろう、] 
						だが、大王当人の方は、おのれの定めによってすぐに 
						王位を他者に引き継いで命絶える。 
					そして彼の後、今度は、強い槍武者たる或る男が、 
						紫の外套を両肩にまとって支配するだろう、 
						頭文字に数にして300 〔Τ〕[123]を〔有する〕者が。 
						12.39 
						...................................................................... 
						12.40 
						〔彼は〕メーディア人たちを、同時にまたパルティア人たちを根絶やしにするだろう: 
						だが当人は、その力によって塔高き都市を陥落させよう: 
						またエジプトの都市にも悪となろう、アッシリア人たちにも 
						コルキスのヘーニオコイ人たちにも、レーノスの流れの畔、 
						砂多き海辺に暮らすゲルマン人たちにも。 
						みずからは、結局、蹂躙するだろう、ヘーリダノスに近い 
						禍をたくらむ塔高き都市[124]をも。 
						そしてその時こそ、燃ゆる鉄の刃に撃たれて没するだろう。 
					だがその後、今度は策略めぐらす別の男が支配するだろう、 
						その名は、数にして3〔Γ〕[125]という抽籤した頭文字が 
						12.50 
						示すだろう:だが数多の黄金を集めるだろう: 
						そして数多の富に満ち足りることなく、恥知らずにも 
						もっと多くを集めて、全地に蓄えるだろう。 
						だが平和があり、アレースは戦争をやめるだろう。 
						だが多くの事を明らかにするだろう、占いのおかげで、生きる暮らしの 
						最大事を説得されて:さらに彼に 
						最大の徴があるだろう:天から血の滴りがあり、 
						王が滅びるとき、滴りが流れるだろう。 
						無法事は多く行い、ローマ人たちの首回りには、 
						占いを信じたせいで苦痛を行って: 
						12.60 
						だが執政官の頭を滅ぼすだろう。で、飢えがカムパノイ人たち、 
						トラキア人たち、マケードニア人たち、イタリア人たちを捕らえるだろう: 
						だがエジプトのみは無数の部族を養うだろう。 
						だが処女なる娘の方は、ひそかに欺いて、 
						領主自身が狡猾に滅ぼすだろう:だがまた市民たちの方は彼女を 
						慟哭しつつ埋葬するだろう:だが領主に万人が怒りを 
						いだいて、これを騙して嬲り殺しにするだろう。 
						花咲くローマの強い者が強い者たちに滅ぼされるのである。 
						12.68 
						 して今度は、数価にして10の2倍〔Κ〕[126]の別の統治者が支配するだろう: 
						そしてその時、サウロマタイ人たちに諸々の戦争や無慚な埋葬が 
						12.70 
						到来するだろう、トラキア人たちにも、また槍投げるトリバリ人たちにも: 
						そしてあらゆる者たちをローマのアレースがずたずたに引き裂くだろう。 
						だが、この男がイタリア人たちやパンノイア人たちの大地に君臨する時、 
						恐ろしい徴が現れるだろう:彼らの周りは、 
						昼日中の刻限に闇深い夜となり、 
						石の雨が天から〔降るだろう〕:次いですぐに 
						イタリア人たちの逞しい統治者にして司人、 
						おのれ自身の運命のせいでハデースの館に赴くであろう。 
					数価にして50〔Ν〕[127]の〔名をもつ〕別の、恐ろしくもあり脅威でもある 
						男が再びやって来よう:して、みずからが、あらゆる都市出身の 
						12.80 
						富貴によって貴族となった多くの者たちを滅ぼすだろう、 
						短いロゴスが、自然の恐ろしい蛇となって。その時、彼は覇権握った 
						両手を伸ばして滅ぼし、あらゆる事を為遂げるだろう、 
						競技し、戦車を駆り、殺し、無量の事を敢行し、 
						また二つの山を引き裂き、して、血汐に穢れるだろう。 
						いや、みずからを神に等化した彼は、イタリア人たちには
						見えもせず、自発的な民を非難するだろう: 
						だが、この者が統治する間、深い平和があるだろう。 
						[また人々の戦慄も〔あるだろう〕:だがアウソニア人たちによって 
						オーケアノスの流れから奇妙な水を持つことだろう:] 
						 12.90 
					 おのが周りに眼を配りながら、民たちに競い合いをおびただしく 
						課し、あるいはみずからも参加者として競うだろう、 
						声楽やキタラ、歌舞と同時に歌において: 
						その後で今度は逃亡するだろう、王の支配権を後にして、 
						だが災悪な滅び方をして、働いたかぎりの所業に代償を払うだろう。 
					彼の後に3人が支配するだろう、二人の統治者は 
						数にして70〔ο〕を名前として選抜し、ひとりはこれに加えて 
						第3字母〔γ〕を選ぶ者が:そしててんでんばらばらに滅びる、 
						強いアレースの軍勢の手にかかって。 
					次いで、ある大いなる統治者が、敬虔な男たちの滅ぼし手として 
						12.100 
						到来するだろう、剛き性根の男、長槍揮うアレース、 
						10の頭文字を7度明示する〔ο〕者が: 
						彼はフェニキアを滅ぼし、シリアを根絶やしにするだろう: 
						ロムパイア剣はティベリア海の湾の外れにまで到来するだろう。 
						ああ、フェニキアよ、悲しみ惹き起こす禍がいかほど滞ることか: 
						ああ、アッシリア人たちのもとにおまえは到来し、幼子らは 
						悪意ある男らのもとに、妻ともども、生涯、隷従し、富はなくなる: 
						12.110 
						なぜなら、神の怒りとして悲しみ惹き起こす禍が襲いかかるからである、 
						彼の律法を守らず、ありとある偶像に 
						みっともない儀式によって仕えたからである。 
						で、また、数多の戦争、諸々の闘争、諸々の殺人、 
						諸々の飢饉、諸々の疫病、諸々の都市の騒乱が〔起こるだろう〕。 
						だが人生の終わりには、雅量と威厳をもった王は、 
						自身は最善者となりつつも、軍神「必然」のせいで果てるだろう。 
					その後、別の二人[128]の主人たる者が支配するだろう、 
						大王たる父親の記憶を歓愛し、多く接近戦を得意として。 
					 12.120 
						 彼らの中の一人は、勇猛にして統治者らしい男で、 
						その名に数価300〔Τ〕を持していた:しかもこの者は、 
						出征中に謀られて、ローマの平野に 
						斃れ臥すであろう、両刃の青銅に射られて。 
					そしてまた、この者の後には或る男で、強い槍武者、 
						語頭に大王の4〔Δ〕をもつ者が支配するであろうが、 
						無限の大地のありとある者たちがこれを敬愛するだろう。 
						そしてその時には、戦争の休止が全世界に 
						あるだろう。特にその時は、西から東までのあらゆる者たちが、 
						強制によってなどではなく、自発的にこの者に隷従するだろう、 
						12.130 
						そして都市都市は自発的に手下となり、あるいは隷従者となる 
						ことだろう。なぜなら、彼その人には大いなる栄誉を、 
						天なるサバオート、天空に住まいたもう不壊なる神が授けたもうからである。 
						そしてその時、パンノニエーとケルティスの全地を 
						飢饉が疲弊させ、等し並みに滅ぼすことであろう。 
						オロンテース河が潤すアッシリア人たちに、 
						持ち物、装飾品、よしやもっと大いなるものが目に付こうとも。 
						そしてこの者たちを大いなる王は歓愛し、その他の市民たちよりも度を超えて 
						愛するだろう:しかるに当人の方は、 
						胸の真ん中に大きな傷を受けて、 
						12.140 
						生の終わりに同志による企みに捉えられ、 
						王の宏大な聖なる屋敷の裡で、 
						負傷して倒れ伏すだろう: 
					彼に次いで統治者になるのは、 
						数価にして50〔Ν〕[129]、やがて死すべき長老にして、ローマの 
						あまりに多くの町衆や市民たちを根絶やしにするだろう: 
						されど彼は少数支配するだろう:先の王のせいで、 
						後々負傷してハーデースの館に赴くからである。 
					その後すぐに、別の王[130]にして強い槍武者、 
						数価にして300〔Τ〕を〔名前の〕初めに抽籤した者が支配し、 
						トラキアのさまざまな大地や、レーノス河の果ての 
						12.150 
						蛮地に居住するゲルマノイ人たちや矢射るイベーリア人たちを攻略するだろう。 
						たちまち、ユダヤ人たちに別の最大の悪が生じ、 
						彼らに加えて、フェニキアは彼らに濡れそぼつ殺戮を飲み干すだろう。 
						そして再び、これらの者たちを、ひとの命を害う男が根絶やしにするだろう。 
						だが、覇権握る神の脅迫が起こり、 
						全地に大地震、大いなる飢饉、 
						時季外れの降雪、特にすさまじい落雷が起こるだろう。 
					そしてその時こそ、ケルトの山を彷徨する大王は、 
						12.160 
						アレースの艱難辛苦の故に競い合いに没頭して、 
						無様な運命を逃れることなく、疲弊するだろう: 
						異国の土塊が彼の屍体を隠すだろうが、その名は 
						花という名を有する〔土塊である〕。 
					彼の後には、別の男[131]    
						銀の頭をした、その名前は海で、綴りは4音節、 
						アレースが付与した字母の初めをもった男が治めるだろう。 
						この男は諸々の神殿をもあらゆる都市に奉納し、 
						世界を自分の足で見回り、贈り物をもたらし、 
						黄金も琥珀も多数を多衆に得させるだろう: 
						この者は魔術師たちの秘義をもすべて至聖所に 
						12.170 
						蓄えるだろう:それどころか、すこぶるすぐれたものを人々に 
						供するだろう……統治しつつ……雷霆が: 
						で、長い平和が生じるだろう、この者が 
						領主である間は:また彼は挽歌の輝く声の持ち主、 
						法習の司にして義人であろう: 
						だが彼もまた自身の運命に引き裂かれて果てるだろう。 
					彼の後、3人[132]が支配するであろうが、三番目の者は、 
						3の10倍をもつ者で、後に統治するだろう:しかも第1字母をもつ者が、 
						別の主として支配するだろう:彼の後には、〔語頭が〕7の10倍から成る 
						別の統治者が:彼らの名前は栄化されるものとなろう。 
						12.180 
						だがまた彼ら当人の方は、痘痕だらけの人間どもを滅ぼすであろう、 
						ブリトン人たち、モーリタニア人たち、大ダキア人たちと、アラビア人たちを。 
						しかしながら、これらの中で最も若い者が殲滅されたとき、 
						その時こそパルティアに再び恐ろしいアレースが 
						攻め寄せ、かつて負傷した者が、徹底的に壊滅させるであろう。 
						そしてその時には、主たる彼自身が、狡猾な野獣によって斃れるであろう、 
						裸のまま懇願しつつ:死の口実そのものだが。 
					彼の後にさえ、多くの知恵をもった別の男[133]が支配するだろう、 
						最初の強い王にして、……第1字母から成る名前をもったのが: 
						だが彼は善良にして偉大である: 
						12.190 
						で、強い彼は、大いなるラティノイ人たちに、父親の記念のために、 
						多くの事を為遂げるだろう:たちまちローマの市壁を、 
						黄金や銀や、あるいは象牙で飾り、 
						力強い者を伴って市場や神殿に出かけて。 
						そしてその時、諸々の戦争でローマ人たちのこのうえなく恐ろしい 
						傷が穂を出すだろう:だが、ゲルマニア人たちの全領土を 
						掠め取るだろう、神の大いなる徴[134]が 
						天に現れる時に、そしてまた青銅の兜を身に着けた男たちを 
						王の敬虔さのおかげで助けるだろう: 
						天にまします神が、全ての大事において彼に聴きたもうからである: 
						12.200 
						祈る彼のために、季節外れの雨水が降り注ぐだろう。 
						しかしながら、わたしが云ったまさにこれらの事が成就したとき、 
						そしてその時こそ、敬虔・偉大な領主の王の栄光は、 
						めぐる年月の間、残るであろう: 
						だが、人生の終わりには、おのれの息子[135]が王位に就くよう公示して、 
						おのが運命によって、金髪の統治者に王の支配権を譲って亡くなるだろう、 
						10の2倍〔κ〕をその名に持つ者で、彼の父親の 
						系譜から生まれて王となり、支配を継承する者に。 
					この男は、万事を有り余る知慮によっても 
						12.210 
						持つだろうが、すこぶる気力旺盛で傲慢なヘーラクレースに 
						嫉妬し、強力な武装において最善者となるだろう、 
						狩猟と戦車競技において最大の 
						栄誉を得て:しかし危ういことに、一人だけぽつんと生きるだろう。 
						で、この者の統治中に、げに恐ろしい徴があるだろう: 
						ローマの平野に濃い雲が起こるだろう、 
						ひとは自分の隣人を見分けられないほどになる。 
						12.217 
						そしてその時こそ、諸々の戦争と無残な憂慮とがいっしょになって、 
						恋情に狂った領主、 
						 12.220 
						その時こそ、鰥夫(やもめ)暮らしに隠されて、大いなる禍々しい男は、 
						怨恨をかって、風呂場で禍悪に塗れるだろう、 
						企みにみちた運命の枷をはめられた人殺しの男が。 
					そのとき知れ、統治の飽くなさ故に、 
						ローマの滅びの時は近いと:で、多くの者たちが破滅するだろう、 
						パッラディオン宮殿で、アレースの掌にかかって。 
						そしてその時、ローマは寡婦となり、万事を償うだろう、 
						かつて独りで数多の戦争で為出かしたかぎりのことを。 
						 我が心臓は慟哭し、我が心は心中に慟哭する: 
						12.230 
						なぜなら、初代の王が、誇り高いローマよ、 
						在地の人間どもに優れた法を 
						[また、不死なる大いなる神の言葉が大地に到来し、] 
						第19代の最後の王制まで、 
						100の2倍、20の2倍、2の2倍の年月が、 
						6か月を加えて満たされた: 
					次いで家系を寡婦とするだろう 
						12.235 
						...................................................................... 
						第20代目の王が、鋭い青銅の剣で撃って血を 
						汝の屋根の下にぶちまけるときに、 
						数価にして80の字母〔π〕[136]が名前を明らかにし、 
						気難しい老齢の者が:わずかな期間に、 
						12.240 
						寡婦とするであろう、数多の敵勢、数多の転覆者たち、人殺したち、殺人者たち、 
						諸々の指弾、諸々の争い、統治の勝利のための 
						悲惨、人馬の数多の混合が 
						平野で戦士たちによって斬り靡かれて斃れるであろう。 
					その名の徴として10〔Ι〕をもつ男[137]が到来し、数々の禍事や 
						悲惨なことをなし、まことに多くの者たちを滅ぼすであろう: 
						だが自身もまた短命にして倒されるであろう、 
						強いアレースの光り耀う鉄の刃に撃たれて。 
					12.250 
						 数価50の別の戦士[138]が到来するであろう、 
						東方から統治に目覚めて: 
						だが、トレーケーまでにも戦闘者アレースが到来しよう: 
						そしてその後で逃走し、ビテュニア人たちの地、キリキア人たちの 
						平野に到来するだろう:だが彼をば、すぐに青銅のアレース、 
						ひとの命を害う者がアッシリアの平野に根絶やしにするだろう。 
					そしてその時、策略にみちた行事に通暁した者が 
						統治するだろう、知謀にみちた男が西方に立って、 
						名は200という数〔Σ〕を徴として持つであろう: 
						王国の支配のためにはるかにより多くの 
						12.260 
						戦争を企てるだろう、アッシリアの人々に対して 
						あらゆる軍隊を集結させ、万事を従わせるだろう。 
						しかしローマ人たちに対しては、大いなる覇権で支配するだろう:が、彼の胸中には 
						数多の企み、腹黒いアレースの怒りが〔あるだろう〕: 
						恐ろしい蛇と難儀な戦争、これが、高貴な生まれの 
						在地の人間どもをみな滅ぼし、 
						貴い者たちの方は、富ゆえに殺して、人間どもが破滅している間に、 
						全ての領土を星のように集めて、 
						12.267 
						...................................................................... 
						東方に置くだろう:そしてありとあらゆる策謀が彼らにあるだろう。 
						12.268 
						     *     * 
						12.268 
						        * 
					それから、若き皇帝が彼とともに王支配する時において、 
						12.270 
						その名は12.250 
						 マケードニアの獰猛な領主の 
						初めの字母〔Α〕を有する者[139]である:彼をめぐって軍隊内で 
						ぞめきが起こったとき、次期王のしたたかな策略を 
						彼はまぬがれるだろう:だが、異邦の慣習によって 
						支配する聖室係[140]は、突如、根絶やしにされるだろう、 
						強いアレースの輝く鉄剣にかかって: 
						その死体さえも、民人はずたずたにするだろう。 
					そしてその時こそ、ペルシアの王たち[141]が立ち上がるだろう、 
						そして……ローマのアレースがローマの領主たちを。 
						またプリュギアは諸々の地震によって繰り返し呻吟することだろう。 
						12.280 
						ああ、ラオディケイアよ、ああ、嘆きのヒエラポリスよ: 
						なぜなら、おまえたちをかつて最初に受け容れたのは、大口開けた大地だったのだから。 
						ローマの……大怪物アウス…… 
						……限りのすべて…… 
						躍りかかるだろう……アレースの掌の中で 
						人間どもが破滅する間に: 
						だが、人間どもの定めは、おまえにとって 
						禍悪だろう:次いですぐに、東の道を通って 
						イタリアを見下ろすべく急いで、耀う鉄の剣に 
						裸にされて、母のせいで憎しみをかって斃れるだろう。 
					なぜなら、ありとあらゆる季節がある……引き留め、他のものは 
						12.290 
						……片や、他方を全員が同時に知ることはない: 
						なぜなら、全てが全てに属するわけではないからだ:愉しみに与るのは、 
						神を崇め、偶像を無視する者たちだけである。 
					されど今は、世界の主(あるじ)よ、あらゆる王国の 
						嘘偽りなく不死なる王よ  わたしの心の中に、神饌の歌を置かれたのは 
						御身ですから  言葉をやめさせたまえ:わたしは自分が何を言っているか 
						知りもしないのですから:わたしの内であらゆる事を告げているのは、御身なのですから。 
						暫くわたしと、惚れ惚れする歌とを休ませたまえ、 
						わたしの心から降ろして:なぜなら、神的な詩句で王国の支配を預言する 
						うちに、心が疲れてしまったのですから。 
					2021.11.17. 
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