スウィフト「提案」
出発 (Der Aufbruch)
わたしは馬を小屋から引き出してくるよう命じた。召し使いはわたしの言うことがわからなかった。わたしは自分で小屋に行き、馬に鞍を置いてうちまたがった。
遠くにラッパの音を聞いて、あれは何の合図だと、召し使いに尋ねた。彼は何も知らず、何も耳にしていなかった。
門のところで彼はわたしを引き留めて尋ねた。
「馬に乗ってどこに行きなさるんで、旦那」。
「わしにはわからん」わたしは言った、「ただここから離れるだけ、ここから離れるだけだ。どんどんここから離れる、離れさえすればわしは目的地に達することができるのだ」。
「それではあんたは目的がわかっておいでで」彼が尋ねた。
「そうだ」わたしは答えた、「いま言ったじゃないか。ここから離れること──それがわしの目的だ」。
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