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7.メールサービス
メールの送信と受信は別のサーバが行っています.送信用のサーバをSMTP,受信用のサーバをPOPと呼びます.用語はともかく送信と受信が別れているということを覚えておいて下さい.
インターネットそのものはパブリックなものであり,E-mailの利用は誰でも自由に行なえますが,学校や企業の様に直接サーバに繋がっていない限り,プロバイダのサーバを借りてメールの送受信を行っているということが重要な点です.これを「インターネットメールサービス」と呼びます.(fig.4)
fig.4-1メール送信の仕組み
fig.4-2メール受信の仕組み
8.メールサービスの利用
メールを利用するためにはクライアントのパソコンにメーラー=メールクライアントソフトが入っている必要があります.(NetScapeNavigaterやEudoraなど)このソフトにいくつかの設定が必要です.
1)POPサーバの名前:POP(受信サーバ)の名前を登録します.つまり自分宛の手紙のおいてある場所の指定です.
2)SMTPサーバの名前:SMTP(送信サーバ)の名前を登録します.つまりどこの郵便局のポストに投函するのかを指定します.
3)POPログインネーム:あなたの名前のことですが,この場合プロバイダに与えられたメールアドレスの@より手前の名前のことです.アカウントと呼ぶ場合もあります.
4)POPログインパスワード:POPサーバ(受信サーバ=自分の郵便受け)にログイン(手紙を取りに行く)ためのパスワード(本人であることを確認するための認証システム)です.

さてここにいくつかの問題点,ややこしくしている点があります.
1)POPサーバとSMTPサーバの名前がプロバイダによって同じであったり命名の法則がまちまちでわかり難い:
何度も言いますが送受信はインターネットにおいて別々のサービスなのに同一名のサーバを使用していたり,加入者の制限数を増やす(名前の重複を避ける)ために複雑なサーバの名前を付けるプロバイダが多く,混乱のもとになっています.

2)SMTPサーバの利用に制限がある:前述の説明からわかる通り,インターネットメールの利用において,受信の際はパスワードによってユーザの認証が行われますが,送信時には何のセキュリティ手段も取られておりません.これは悪意の第三者が他人の名前をかたってメールを送れてしまうことを意味します.これは困りますね.そこでプロバイダは悪用防止のため自社のサーバに直接電話接続した者にのみ,つまりお金を払っている契約ユーザにSMTP(送信サーバ)を利用できるように制限している場合が多い様です.電話接続の際に認証を行っているので悪用するとバレますよということです.一見適切な処置の様ですが,困る場合があります.会社でインターネット接続をしているがメールはプロバイダのサーバを利用しているといったケースです.この人は受信の際はPOPログインアカウントの認証を行っているので問題無くメールは読めますが,送信は出来ないことになります.現在この問題を解消するためにSMTPを利用する(メールを送信する)前に一度とりあえずPOPログイン認証(メールの受信)を行うことでプロバイダが自社のユーザの利用であることを確認して,やっとSMTPの利用を許可するという回りくどい暫定手段をとっている場合が多い様です.
そもそも「悪意ある第三者」の存在が想定されていない時代にSMTPの取り決めが行われたのが問題のはじまりで,この取り決めを今から変更するのは大変なことだそうです.

3)POPログインネームとダイアルアップ接続のログインネームが同じである:POPログインネームはメールアドレスのことです.何度か出て来ましたね.実はプロバイダからはもう一つのログインネームが与えられています.ダイアルアップ(PPP=Point to point protocol)ログインネームです.ユーザIDと表現している場合が多い様です.接続とメールは別のサービスであると何度も書きました.そのため各々のサービスを受けるために本人であることの認証が別々に必要になります.接続に一回,メール受信に一回です.「接続しなきゃメールは見れないし,メールを見るためには接続するんだからこんなの一緒じゃん」と思われるかも知れませんが,前述のように「会社と自宅」の様なケースを考えるとやはり分けておく必要があります.そもそもインターネットの取り決めとして別のものである事を忘れてはなりません.普及したとはいえインターネットは一定のルールの上に成り立っている公共のシステムですから一プロバイダが勝手に方式を変えることはできません.しかしプロバイダは管理を楽にするためかユーザが余計なことを憶えなくてよいようにするためか(おそらく両方)この二つのログインネームを同じ名前で発行しています.ですからユーザはダイアルアップ接続(PPP)の設定とメールソフトの設定(更にPOPとSMTP)で重複した2重3重の設定を行っている様な錯覚に陥り「インターネットの設定は複雑で難しい」という印象を受けてしまうのです.そして「E-メールは使いにくい」となってしまうのです.

4)POPログインのパスワードとダイアルアップログインのパスワードが同じである:前項と同じことです.実は別の認証を行っているにも関わらず,同じパスワードを利用している(プロバイダにさせられている)ためユーザはまた混乱してしまうのです.もっとも馴れてしまって特別に疑問を感じなくなっている人がほとんどだとは思いますが.

N・E・X・T