広域計画と地域の持続可能性〜地域活性化の視点から〜
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近年における広域的な観光地づくりへの政府の取り組み

 

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出所:観光庁
 
 では政府はどのような取り組みをしているのでしょうか。

 最近の話題ですと、2008年に観光圏整備法(観光圏の整備による観光客の来訪及び滞在の促進に関する法律)が施行されました。

 これは観光圏のなかで観光地が広域的に連携をして、滞在型の観光圏を整備していくというものです。2009年までに30地域の観光圏が承認されています。その概要は下記の通りです。

     
     ○半島・山麓・大型湖沼・海岸などの自然地域
      南房総、富士山・富士五湖、琵琶湖・近江路など、
     ○著名な歴史文化遺産
      熊野や日光など、
     ○都市圏
      札幌、仙台など
 
 これは第一期で選ばれたものです。

 では観光圏をどのように整備していこうとしているかですが、そのイメージは本書5章4節の図1(p135)の通りです。

 複数の自治体があり、そのなかで中心となる滞在促進地区を持つようなところを想定していきながら、そこからいろんな地域の魅力資源に楽しめるようにしようというものです。

 それぞれの都市や市町村では、それぞれの魅力を磨いて、そしてそれをいろんな観光プログラムとして位置づけていく。当然、そこには観光のネットワーク、アクセスしやすいネットワークをつくったり、周遊的なネットワークを作ったりするということです。

 そして滞在促進地域ではそぞろ歩きができる環境づくりを促進したり、宿泊の魅力向上を図ったり、移動の快適化を図ったりします。沿道植樹とか周遊割引券を導入もその一例です。

 そして全体としては地域のブランド化を図り、着地型旅行商品の企画販売とか、地域の産業文化の保全・発展、体験・交流のメニューの充実などに取り組みます。これらの実現によって、魅力ある観光圏を作っていこうというのが国の政策です。

 そのために国は次のような支援プログラムを用意しています。

     
  • 国の取り組み。
     関係自治体や観光業と関連業種による法定協議会を結成させ、総合的な取り組みを促す。
    〈主な支援プログラム〉
    (1)宿泊、観光資源、交通移動、案内・情報提供などの改善に対する助成・融資。
    (2)社会基盤整備との連携。
    (3)農山村での交流施設整備支援(農山村活性化プロジェクト支援交付金)。
    (4)旅行業法の特例による「宿による宿泊客への着地型旅行商品の販売許可」(観光庁, 2008a)。
 
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(C) by 瀬田史彦・戸田敏行・福島茂 & 学芸出版社

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