「まちづくりコーディネーター」セミナー記録
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今日の報告はさまざまな制約下での中間段階のもの

 

三村

 理事長という立場もあって複雑な気持ちで聞いていました。

 まちセンのスタッフが、コーディネーターとしての働きについても評価され、期待もふくらんでいることが分りました。それだけに、地域社会の空洞化や限界化に対処する戦略的なプログラムにもっと積極的に挑戦すべきではないか、討論では、かなり理想的というかやや過大なテーマ設定が提起されました。

 まちセンの場合、地域の歴史文化の学習、町並み景観や住環境の整備、アイデンティティのあるまちづくり力の形成などをテーマとして設立されました。

 コミュニティの問題全般、社会福祉や経済振興、人口回復などを正面のテーマにすえているわけでありませんが、現代のまちづくりにはこういった面からのアプローチも重要な貢献につながると考えています。

 世の中は大きな変わり目です。これまでのコミュニティというのは町内会とか氏子とか青年団とか農協とか商店街とか既存の組織がいっぱいあって、行政の窓口とつなぐ秩序がある訳です。奈良で調べたところ、市の方から毎年、各学区ごとに三つだけ要望を出してくださいという。地域のリーダーや議員さんがまとめて要望し行政の担当部局に割り振って対応させるとかでつないでいました。

 そういうエネルギーも大切ですが、コミュニティ自身が考え実践する、その過程で行政の支援のコラボをつなぐまちづくり協議会方式を提案したのですが、議員さんやボスの活躍の場がなくなると言われたこともあります。

 そういう環境のなかに、まちづくりコーディネーターですと名乗って入っていって認められるのは容易でありません。今回の場合は、まちセンは公益性をもって機関でであるという看板とともに行政権限にしばられない比較的自由な立場から活動を支援できると条件があったわけです。

 地域に入ることになったスタッフは、当初はなにをどうすすめるのか、コーディネータとはなにかずいぶんと悩んだはずです。では地域に入っていくときにどういう任務を与えられて入っていったのか、入っていったときにどういう行動をするのかというマニュアルが示されていたのか、それともいきなり「現場こそ研修の場だ、行ってこい!」と言われて入っていったのか、そういうリアリティがこの本には描かれていますので読み込んでいただきたいと思います。

 これからは、農村、都市もドラスティックな条件変化が起こってきます。地域社会が空洞化や限界化するなかで、期間やテーマ限定のまちづくりプロジェクトにコーディネータを派遣するとともに、地域自体マネジャーを育てたり迎えたりしなければいけない。また、農林も商工や福祉の地域支援システムとの連携も大切ですが、まだまだ発展途上にあります。

 この段階で、まちづくりコーディネーターが一生懸命提案しようとしても、どこまで動けるのかという制約もあります。この本はそういう制約条件、いまの発展段階で書かれたものだという位置づけをしておきたいと思っています。

 さきほどの討論で提起されたコミュニティビジネスを起業するとか、新しい居住世帯を迎え入れるといったトータルで持続的な地域振興の次元になると、まちづくりもう一回り大きい戦略的な構図として発想する必要があるでしょう。

 期待しすぎてコーディネーターが萎縮してしまっては困りますので、まちセンとしてはコーディネータに、それぞれの段階において、機嫌よく仕事しコミュニティに学びつつ自己成長してもらえる環境をつくっていきたいと願っています。

リム

 どうも、有り難うございました。

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