「まちづくりコーディネーター」セミナー記録
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メールで送られてきたご意見

 

・Iさん(大学院生):

 昨夜のセミナーも興味深く拝聴しました。感想を下記に記します。

 (1)「まちづくり」、「むらおこし」、「地域活性化」等々、様々なセミナーがそれこそ毎日のように行われています。今一、良く分からないのは、イベントをやりますという内容が多いことです。将来どのような姿を思い描いて、その実現に向けての里程標や途中のチェックポイントについて議論する場が少ないように感じられます。これから先は私の予想で、当たる確率は50%と思っています。今年になってから英米から盛んに発せられる様々な情報を総合すると、Oil CrunchやPeak Oil問題の発生(公式の公表)が、かなり間際に迫っているように感じられます。米軍のレポートには2015年に発生し、世界各地でそれに伴う紛争が発生すると記載されています。ごく最近公表されたLLOYD'SとCHATHAM HOUSEが共同して纏めたレポートも、産業界に対してそれに備えるように忠告しています。この問題が発生すると、Oilへの依存度が高い交通・運輸部門が一番影響を受けます。人の移動が妨げられ、物が移動しにくくなります。必然的に小さなコミューン内で、生活のかなりの部分をまかなう必要が生じるかもしれません。悠長に村おこしイベントばかりやっている暇はないように思われます(あくまで確率50%の話ではあるが)。今回の2件の発表も、最終あるべき姿やそれを実現するための方策や里程標が示されていなかったように思います。

 (2)小野郷は私の通っていた紫野高校の校区で、何人も友達がいたので、ある程度内容を知っています。その上での私の意見です。朝倉さんは小野郷の特徴として田んぼや農地の重要性を話されましたが、それでは多々ある農村地域と何ら変わりません。他の地区にはない小野郷独特の特徴として、芸術的あるいは盆栽的な感覚で栽培されている北山杉の特徴を最大限に生かした活性化方策が考えられないかということです。例えば、海外ではやり始めている盆栽の延長として、床の間の文化を海外に向けて展開することは出来ないだろうか。日本は住まいの団地化・マンション化(即、床面面積の減少)のため、床の間文化が衰退していますが、海外では比較的大きな住宅が多いので、少し余裕の空間が演出できるのでは。海外ドラマや映画の世界では比較的大きな暖炉を持つ住宅が多いのではと想像できます。もう一つは、間伐材を利用して、電動自転車のボディを作る提案です。まもなく知財処置も済んで画像が公開できますが、この目的に合うデザインの三輪の電動自転車を某大学のデザイン系学部と一緒に開発中です。間伐材の活用と同時に、小野郷地区の木工業者の仕事が増え、木をモチーフにしたデザイナー集団を作ることまで考えれば、非常に楽しい世界が広がるように思います。

 (3)人が一番大きな問題です。コーディネーター単独の活動では限界があると思われます。地域に長期間(20年以上)生活し、地域で生活の糧を得る若い能力のある人が育てられるかあるいは都会地区から呼び込むことが出来るかが一番のポイントと考えます。地域活性化の若手キーマンとコーディネーターが二人三脚で活動することができれば、コーディネーターの役割もその重要性も増すように考えられます。それともう一つ、私がコーディネーターに期待したい役割は、「公共の心を持つ大人」を育てる役割です。非常に難しく、時間のかかるテーマですが。日本の教育の最大の失敗は、公共の心を持つ児童・生徒を育てられなかったことであると考えています。大学の学生時代には唯一「公共の心」を育てるチャンスがあり、一部の人たちはそれに必要な活動を行っていますが、就活活動の過熱化で、それもままならなくなっています。生涯教育の一環として大人を対象に教育することも必要になってきていると考えています(児童に教育するのに比べて圧倒的に効率が悪いですが)。この役割をコーディネーターが担えないか期待したいです。

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