美味しい物を嫌いな人はいないし、比較的、価値観も共通しています。
だからターゲットが広い。普通はターゲットを絞ったほうが良いのですが、食はともかく広いのです。
また今、話しているのは観光旅行ですが、旅行の半分は業務旅行なんです。それに教育旅行もあります。
普通の観光資源は観光旅行にしか通じませんが、食は違います。だから出張するとき、大阪に出張しろよといっても喜ばない。札幌だとみんな喜ぶんです。美味しい物を食べられると思うからです。
そして消費単価を増やします。夕食だとお酒もつきますから大きく増やします。
また、国宝を見てその良さを説明するのはとても難しいのですが、「うどんすきは良かったよ」というのは簡単です。だから口コミに乗りやすい。
また、国宝は一度見たら「もう良い」となりがちですが、食は違います。美味しければ、何度も食べてみたくなる。だからリピーターに繋がります。
それにオフシーズンの解消に役立ちます。雨が降ると旅行の喜びは半減することが多いのですが、天気が悪くても室内で食べるので関係ありません。そのうえ観光のオフシーズンである冬に美味しい物が多いのです。だからカニなのです。
もうひとつは、観光が増えるとゴミが増える、治安が悪くなると地域に嫌われることも多いのです。共存共栄が難しい。しかし食は地域のものを食べる訳ですから、単に飲食業だけではなくて農水産業や食品加工業者も潤うんです。これが大きな強みです。
次に地域住民が食べているものを観光資源にするわけですから地域の共感を得やすいことです。難しい国宝だとかだと、「私は見に行ったことがない」なんて地域の人に言われてしまうこともありますが、食ならみんな知っていますから交流が起こりやすいのです。
そして食はメディアに取り上げられやすいということがあります。そして、最大のメリットはこれからでも挑戦できることです。
■食旅による観光まちづくりのステップ
時間がありませんので赤字のところだけ説明します。
地域の宝探し。 今日のまち歩きにも、いろいろな地域の宝があったように思います。 推進組織をつくる。 行政が中心の場合もあれば、市民の応援団が中心になっている場合もあります。 そして商品にする。 抜けているのは食旅のコミュニケーション活動です。マーケティングですね。ここができていな地域が多いのです。できているところが成功しています。 最後は食という観光資源を守るということです。観光資源は必ず消耗していきます。消耗を防ぎ継続していけるかが大切です。
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地域の宝を探すにはまち歩きをしようと言われますが、食の宝探しは食べ歩きです。
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食が観光資源になる要件です。 これは真剣に聞いて帰って、また本をじっくり読んでください。 一つは地域の固有の物じゃないとダメだと言うことです。 次は地域住民が共感しているものだということ。地域住民が知らない物を地域の食だといって宣伝しても誰も本気にしてはくれません。地域の住民の誇りになっていることが重要です。 もう一つは、いま観光資源は全部そうですが、何かそこに物語性がなければなりません。今日の大正地区にも小さな小さな蘊蓄がありました。小さな小さな歴史があった。そうすると見るものがただの壁じゃなくて、ここに映画館があって、船員の人たちが集まっていたようすが浮かんできます。見え方が違ってくるのです。 そして持続性です。食は脆弱なんです。魚だって捕れなくなってしまうこともあります。料理ならあの人がいなくなると、もうこの味は出せないということも起こります。
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組織作りです。 食の場合は女性を絶対入れなければいけません。なぜなら女性が旅行の主導権を持っているからです。
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大間マグロは素晴らしいですが、昔は地元で食べられなかったのです。 いま、ようやく十数軒できて、見える形になってきています。この見える化が大事です。
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ここでは、ターゲットを絞るという点だけを強調しておきたいと思います。また訪日外国人です。単に訪日外国人が増えると言うことではなくて、訪日外国人が行くところには日本人も喜んでいくということに着目してください。 食は伝統のままでよいのですが、受け入れ態勢を国際基準にする必要があります。 またマスメディア対策です。テレビが一番強いと思っているところもあれば、インターネットに賭けているところもあります。 でも、食だけは来訪した人、一度食べた人が最大のメディアなのです。ちゃんと美味しい物を出し満足してくれれば、食べた人は美味しかったと10人に言ってくれます。
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最後です。 どんなものでも資源は消耗していきます。そして顧客はどんなに頑張っても離れていきます。なんとかしなければいけない。 他の観光資源はそのままであることが重要で、そのままだから良い場合が多いのですが、食は進化しながら持続的な観光資源としていくことができるのではないかと思います。
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以上です。もっと深いところは本に書いてありますので、是非ともお読みいただければと思います。