食旅と観光まちづくりセミナー記録
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食旅のテーマ別、印象に残ったまち、行きたいまち

 

 次に先ほどの類型別に、どんなまちが人気があるかを見てみます。

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高級食材(p54、55の図表(1)(2))
 経験では伊勢志摩です。伊勢エビ、アワビですね。

 次が札幌。

 京都が高級食材でも選ばれています。スッポンとか鱧です。

 あとはカニです。そしてフグの下関です。

 意向は北海道です。松阪も頑張っています。京都のスッポン。あとはカニです。

 高級食材は日本人にとってカニなんです。特に昔は都会ではカニ刺しはもちろん、新鮮なものは食べられなかったからでしょう。

 写真には海産物が並んでいます。あとはブランド牛。写真の大間のお寿司屋さんのお寿司です。

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旅館の地元グルメ(p60の図表(1)(2))
 旅館にはもっと頑張って発信して欲しいですね。

 まち全体の旅館が同じ特徴ある食材を出して、まち全体が集客力にしているところはあまりないんです。もっと特徴をつくるべきでしょう。

 意向では、北海道や京都、そして秋田です。

 あまり正確なイメージを持っていないのです。旅館にもっと頑張れ!と言いたいんです。

 この前、ある島に行ったのですが、新鮮で美味しい魚が食べられると期待していたのに、ダメなんです。だからアンケートでも評価が低く、リピーターが減ってしまうのです。どうしてかと聞くと、島で新鮮な魚は捕れるけど、20人、30人に同じ大きさの魚を、安定的に出すことができないというのです。そういう数は対岸の市場にまで行かないと買えないということなのです。だから民宿にいったほうが良い。民宿だったら形が違うのが出てきても許される。ところが違う形を旅館が出したらクレームがいっぱい来てしまう。工夫をしておられるのですが、大型旅館には限界があるのです。

 一泊2食を長い間当り前のようにやってきた後遺症が旅館に出ているような気がします。それで、あまり期待されていないのです。しかし、泊食分離の動きやオーベルジュといった新しい動きもでてきています。

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地元の高級料亭・高級レストラン(p65、66の図表(1)(2))
 神戸や銀座、なぜか福山が入っています。さむらいという有名な料亭があるからです。

 京都の有名な料亭も強いですね。

 経験もそれほどなくて、行きたいというのも、それほど強くありません。

 みんさんどうですか。ほんとはもっと大きな数値がでると期待したのですが、まだこれからの旅のようです。

 これから結婚記念日とかに京都にいっちゃおうぜ、みたいなのがもっと出てくると思います。

 またミシュランの三つ星は「そのために旅行する価値がある卓越した料理」という定義です。ヨーロッパではミシュランの三つ星を求める旅が、ワインツーリズムと同じぐらい流行っています。ミシュランはタイヤ会社ですから、走り回ってタイヤをすり減らして貰いたいわけです。

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伝統的な郷土料理(p70、71の図表(1)(2))
 まずは沖縄料理です。郷土料理ってなにか、残っているのかが難しい中で、沖縄料理はいかにも郷土料理らしいし、地元の日常のなかに溶け込んでいる料理です。

 あとはきりたんぽ鍋です。熱いお酒に、囲炉裏端や古民家、しんしんと降る雪ととても相性が良さそうです。

 意向はきりたんぽ鍋、それに京懐石も入っています。郷土料理と言って良いのかどうかは疑問ですが。

 意向はしっかりしているのですが、経験が少ないのが特徴です。

 郷土料理とは何かですが、以下のように考えています。

     
     その地域の食材を主体とし、その地域固有の調理方法や調味料で作られ、現在に受け継がれ食べられている料理。
 
 いまは郷土料理を体験しにくくなっていますが、東京と大阪でこれだけ味が違いますし、山があり川があり風土が違うのですから味が違うのです。まだ郷土料理は残っていると思います。地元の人との歴史、固有文化、地元食材が活かされた鍋料理、漁師メシなどに可能性があると思います。

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B級グルメ(p75、76の図表(1)(2))
 話題のB級グルメは富士宮がトップです。2位は大阪でした。

 あとは福岡の博多ラーメンとか、広島のお好み焼、これは昔ながらのB級グルメでしょうか。

 B級グルメという言葉は1985年にある雑誌から生まれたと言われています。

 先週、19、20日に厚木でB1グランプリをやっていました。43万人も集まったそうです。ここまで来るか!?って感じです。

 大変よいことですが、観光資源、観光アトラクションとしての条件が備わっているのか、検証する必要があると思います。イベントとしては良いのですが、持続可能な観光まちづくりをしなければならないのですが、継続する力があるかどうかです。

 しかしこういうものに人気が集まるのは、間違いなく旅と食に対する旅行者の意志だと思います。

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特徴ある食の空間(p80、81の図表(1)(2))
 それらしい場所で食べたいというのがあるのではないかと思い、聞いてみました。

 1位、2位とも横浜です。中華街と新横浜ラーメン博物館です。

 行きたいところには京都の川床料理も出てきています。

 なにわ食いしんぼ横丁に行きましたが、良かったです。

 また屋台村がいま元気です。中心市街地の活性化に効果が出ているようです。また農村レストランや町家レストランも注目でしょう。

 こんな場所で食べたいというのもフードツーリズムの一つのあり方だと思います。

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体験する食(p85、86の図表(1)(2))
 これは食べない食旅です。多いのはそば打ちです。

 体験する食旅は、多くの人にやりたいぞという思いがあり、人気があるのですが、今日では、まだ教育旅行、研修旅行が中心です。一般の旅行までは広がっていません。

 ソフトなものからハードなものまで揃っています。農業事業者が観光客のためにつくる農園、観光農園も各地で出来ています。

 第一次産業は観光と馴染まなかったのですが、農商工連携が起こる前から、すでにこういう試みが起こっていました。

 もっと体験の旅行が増えるのではないかと、期待していますが、あまり辛いことをしたくないという壁があるのかもしれません。

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買う食(p90、91の図表(1)(2))
 これは人気上昇中です。朝市とか魚センターとか、それに道の駅です。既存の市場も旅行者を受け入れ始めています。

 高速道路の無料化、1000円化が維持されるともっと広がるでしょう。農村の直売所も凄いです。先週行っていた軽井沢でもアウトレットだけじゃなくて、普通のスーパーマーケットが東京からの買い出しの対象になっていました。ファーマーズマーケットで新鮮な野菜が売られると、それが口コミで広がっていくということが起こっています。

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本調査から見た大阪の食旅
 食旅経験は全体で6位です。良く言われるように粉もんの世界です。ただ地元の高級料亭、レストランも健闘しています。B級グルメは経験で1位です。

 たぶん大阪の人はこれを見たら怒ると思います。もっと高級料理もあるし、東京と比べるとみんな美味いんだぞと言われるでしょう。ただ、これは「このように見られているんだよ」ということです。

 昔、神戸にいましたが、お客さんが東京から来ると、神戸も大阪も案内するんですが、神戸の場合はお金があれば神戸牛のすき焼きに連れて行くんです。そうするとたいてい喜びます。2回目にくると、南京町の中華料理です。

 大阪ならどこにするか。30年前には東京の人はうどんすきを食べたいというのです。東京にはうどんすきがなかったんです。食べると、本当に美味い、と喜ぶんです。

 当時は神戸なら時計屋のすき焼き、しゃぶしゃぶですね。今でもありますか。あります?。それは行ってみたいですね。

 ともあれ、そういうイメージなんです。

 大阪はあまり発信していないですし、逆にいえば大阪は東京同様に世界のどんな料理でも食べられるところです。今さら地域の食にこだわる必要はないのかもしれません。

 しかし、大阪じゃなくて大阪のなかの地域に人を呼ぶことはできるかもしれません。

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