細内信孝 現在、コミュニティビジネス総合研究所代表取締役所長、コミュニティ・ビジネス・ネットワーク理事長、法政大学大学院政策創造研究科兼任講師。コミュニティ・ビジネスの提唱者。主な著書に『コミュニティ・ビジネス(旧版)』(単著、中央大学出版部)、『地域を元気にするコミュニティ・ビジネス』(編著 ぎょうせい)など、多数。(http://www.hosouchi.com
 

『新版 コミュニティ・ビジネス』もうすぐ出版

コミュニティ・ビジネスを日本に初めて紹介し、その主導者として活躍してこられた細内さんの定本『コミュニティ・ビジネス』の新版が、もうすぐ出版です。
 細内さんをお訪ねし、出版の狙いをお聞きしました。(2012年現在、すでに第2刷)
聞き手:前田裕資(編集部)
 

●改訂版、出版の経緯は

前田:
 今回お書きいただく『新版コミュニティ・ビジネス』について、狙いとか目的、どのようなな人に読んで頂きたいかをお話いただけないでしょうか。
細内:
 11年前に『コミュニティ・ビジネス』という本を出したわけですが、10年一昔ということで、いよいよ改訂版を出す運びになりました。学芸出版社さんから目出度く出すわけですが、大幅に手を加えてあります。データも含めて直近のものに直しております。
 10年前は日本はまだまだ豊かな部分が残っておりました。しかしここ最近、政権も変わり社会状況も変わってきて、たとえば働く人の三分の一が非正規の雇用者、これがあと10年もすると半分ぐらいになるという推計も出ています。
 こういうなかで地域を再生して行くには、社会的排除にあう人を極力ださない、これがコミュニティ・ビジネスの本質にあります。つまり失業するということは社会的排除にあうということなんですが、そういう社会的排除にあう人を地域から極力だしていかないことが、豊かな地域、元気な地域を作り直してゆくうえで重要であると言うことを本書のなかで述べております。
 11年前と比べて昨今とみに日本の社会の仕組み、経済の仕組みが音を立てて崩れていく、壊れていく。こういう中でこの『新版コミュニティ・ビジネス』という本は、再生へ向けて、活性化に向けて、一つの方向性を示すものであり、再生手段の一つになりうるのではないかと思っています。
 こういうような仮説のもとに11年間、書きためておいたものを改めて改訂版として出すことになりました。おかげさまで前著は8刷までいったわけですが、それをこのたび改訂版として再び世に問うてみたいということで、学芸出版社さんから声をかけられまして、改訂版として出すことになりました。
 11年前の前著の帯には「地域力の向上が時代をひらく」と書きました。まさに地域力が地域を再生していくという視点に基づいて書かれている本であります。
 11年前の本に比べて増えた分野は、たとえば環境に関するコミュニティ・ビジネスであったり、福祉に関するコミュニティ・ビジネスであったり、さらに子育てもあります。そのほか単に商店街の再生だけではなく、まちの再生、まち全体の再生というところまで踏み込んだ事例も取り込んで、今回、まとめ上げています。
 是非、コミュニティ・ビジネスに関心を持たれている方々にお手にとって読んで頂きたいなと思っておりますので、一つ宜しくお願いしたいとおもいます。

●起業をめざす方へのメッセージ

前田:
 これからコミュニティ・ビジネスをやってみたいなという人に対して、何かメッセージはございませんか。
細内:
 そうですね。今回の本もそうですけれど、まず一読されたら、そこに出ている事例の地域にゆき、コミュニティで、現場で実際におやりになっている方々に会いに行って下さい。
 現場にこそ問題点のヒントが隠されています。
 同じようなテーマで地域でコミュニティ・ビジネスを立ち上げたい方は、是非、本を片手に携えて、現場まで足を運んで、現場の人に直接、疑問点や考えていることをぶつけてみてください。きっとヒントになることを答えて頂けるとおもいます。
前田:
 やれば、出来るものなのでしょうか?。
細内:
 まずはやってみようということです。
 コミュニティ・ビジネスはベンチャービジネスと違い、最初から法人格をとって活動していくよりも、むしろ地域で顔を覚えていただいて、地域の仲間と立ち上げていくというものです。ですからベンチャービジネスと違って時間をかけて地合を地域でつくりながら立ち上げていくものですから、ベンチャービジネスよりは数段成功率が高くなってきます。
 でもビジネスですから失敗もあります。
 そういう失敗の分析も踏まえて、自分だったらどう改良を加えていくか、こういう視点を踏まえて、仲間を地域で募って立ち上げていくことが成功への近道になるとおもいます。
前田:
 どうも有り難うございました。
細内:
 宜しくお願いします。
 

新版 コミュニティ・ビジネス「予定目次」

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1章 コミュニティ・ビジネスとは何か
〜CBを理解するための基本ポイント

(1)コミュニティ・ビジネスの〈定義〉/(2)コミュニティ・ビジネスの〈視点〉(コンセプト)/(3)コミュニティ・ビジネスの〈領域〉/(4)コミュニティ・ビジネスと〈生活者ニーズ〉/(5)コミュニティ・ビジネスの〈効果〉/(6)コミュニティ・ビジネスの〈事業化フロー〉/(7)コミュニティ・ビジネスの問題認識と課題/(8)コミュニティ・ビジネスの生活の14分野/(9)コミュニティ・ビジネスを支える人々や仕組み〈ステークホルダー〉/(10)コミュニティ・ビジネスの〈資金調達〉/(11)コミュニティ・ビジネスの〈発展プロセス〉/(12)まとめ

2章 事例に見るコミュニティ・ビジネスの特徴

1 先進事例に見るコミュニティ・ビジネスのポイント
(1)地域に密着していること/(2)地域の問題への気づき/(3)高齢者の活躍/(4)身近な地域資源の活用/(5)多分野にわたるビジネススタイル/(6)地域の居場所づくり/(7)女性のエンパワーメント/(8)地域雇用の創出/(9)地域貢献活動
2 コミュニティ・ビジネスの成功ポイント
3 コミュニティ・ビジネス起業時の評価ポイント
4 コミュニティ・ビジネスの評価ポイント

3章 住民の主導による地域経営

1 地域コミュニティの衰退
2 住民主導による地域経営
(1)飯田市上久堅地区に見るいきいきまちづくり活動/(2)まちにやさしい仕事の先進地・東京都墨田区/(3)野沢温泉村はコミュニティ産業 3 地域コミュニティを元気に

4章 新たな時代に向けたコミュニティ・ビジネスの展望と課題

1 団塊世代の地域参画によるコミュニティの活性化
(1)団塊世代の地域参画とコミュニティ・ビジネス/(2)団塊世代のためのコミュニティ・ビジネスのレクチャー/(3)今後も期待される参画と起業の拡大
2 高齢社会を支える顔の見える関係を築く
(1)小さな「街」の大きな取り組み/(2)高齢者向けコミュニティ・ビジネスの発展段階/(3)多様なニーズに応じた柔軟性のあるサービスづくり
3 地域のニーズにこたえる社会起業と社会起業家
(1)社会起業の動きとコミュニティ・ビジネス/(2)社会起業の具体例/(3)コミュニティ・ビジネスがもたらす地域への効果/(4)ソーシャル・インクルージョンと生き方のユニバーサル・デザイン

5章 新たな公共に向けて

1 自立型地域社会モデルの創出に向けて
2 地域社会における多重多層の戦略コミュニティの構築
3 コミュニティ・ビジネスの普及に向けた六つの改革の視点
(1)視点1 中間支援組織(インターミディアリー)の充実/(2)視点2 市民主体の地域自治組織の構築に向けた法制面の柔軟な対応/(3)視点3 寄付税制等の再構築/(4)視点4 行政財産の効果的な活用と管理・運営面に関する創意工夫/(5)視点5 行政および自治体職員の役割の変化と拡充/(6)視点6 地方自治体の自主財源の確保に向けた自主課税権および自主起債権の確立
4 21世紀の新たなコミュニティとは
 

著者によるセミナー(2011.2.1 東京)

著者によるセミナー(2011.4.1 京都)

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