街の遺伝子(レジュメ)
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パネルディスカッションに向けて

「個性」と「コミュニケーション」を
大切にした街のデザインを

サントリー不易流行研究所 近藤直久

 

はじめに

 不易流行研究所は、 サントリー株式会社の創業90周年を記念して設立された部署で、 本年13年目を迎えるが、 設立以来、 生活文化や人々のライフスタイルについてテーマを決め活動している。

 また、 この生活文化を育む土壌であり、 人間の知恵の結晶である『都市の魅力』についても横断的で重要なテーマと位置付けており、 私自身も今、 街や盛り場の調査をメインに行っている。 その際には、 デベロッパーや街づくりの側でなく、 一般の生活者や利用者の視点で実地調査を行い、 その中から地元大阪が活性化していくようなヒントを探りたいと思い活動している。


最近の調査より

 この数年だけをとってみても、 各地の商業施設や店が変化しているのがわかる。 しかし必ずしもそれが一般の生活者や利用者のニーズやテイストを反映しているかと言えばそうでもない。

 例えば、

といった問題点が感じられる。

 しかしこういった問題意識をもって実際に街を歩いていると、 いくつかの面白い場所や仕掛け、 新しい芽を発見した。

 例えば、


大阪ミナミの調査より

 また今、 特にミナミの調査を集中的に行っている。 ミナミも以前は「キタ、 ミナミ」と言うように、 大繰りな捉え方であったが、 近年の南船場や堀江といった新しい街の台頭により、 アメ村、 道頓堀、 東心斎橋、 堀江…というように個々の街で呼ばなければ分からないほど一枚岩ではなくなってきた。 今、 御堂筋を超えて西方面が脚光を浴びているが、 裏を返せば、 またいつ東の方に注目が集まってきてもおかしくないような状況である。

 島之内もそうだが、 船場は特有の歴史をもっており、 近世からの街の遺伝子云々を語るときにはもってこいの場所である。 この土地に息づく地力、 地霊を感じる。 しかし一口に船場といっても広いので、 今後この区域をリデザインしていく時には、 もう少し細分化してそれぞれに個性を打ち出していければ面白いと思う。 もちろん区域全体を通して、 歴史的な建造物が多いことや、 職・遊・住を兼ね備えた人の気質のようなものがあるというメリットは大切にしたい。


これからの街づくりのキーワード

 以上、 これからの街づくりでは「個性」と「コミュニケーション」の二つが大きなキーワードになってくるのではないかと思っている。


近藤直久(こんどう なおひさ)
1954年兵庫県生れ。神戸大学経営学部卒業。サントリー株式会社入社後、財務部、情報システム部、人事部、大阪工場を経て、現在、サントリー不易流行研究所課長。主な研究テーマは企業と文化、都市の魅力。


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