かたちと関係の風景デザイン
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平安の遺産が未来の京都を救う

ランドデザイン 中村伸之

 

 

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 堀川は、 平安京造営時に作られた運河であり、 水運や利水によって京都の発展を支えてきた。 安倍晴明や渡辺綱の伝説で知られる一条戻橋があり、 世界遺産・二条城の一部にもなっている。

 思えば、 この川は平安京の原形を伝える数少ない歴史空間であるが、 この数十年で周辺の排水が暗渠化されて水流が枯れ、 下流部は埋め立てられた。

 しかし、 上流は市街地にありながら、 うっそうとした森となっている。 その生命力は豊富な地下水のおかげであり、 古都の風土を物語っている(写真上)。

 堀川では、 現在、 水辺環境整備事業が進められているが、 長期的には河川整備の枠を超えて道路や緑地と一体的に整備され、 ヒートアイランド化を緩和する幅広い緑の「風の道」となるべきである。

 そのためには、 都市の水循環を改善し、 かつての流水量を取り戻したり、 埋め立てられた下流部を再び掘り返すことも考えられる。

 これは環境改善のみならず、 平安時代の遺産に新たな生命を吹き込んだ名所空間の創出にもなるはずである。

 まずは、 そんな堀川の風景を描くことから始めたい。 写真下は立命館大学、 久光敢さんが作成した「百年後の堀川」のイメージである。

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