総体としての生活環境の再生は、 建物の建て替えだけでは意味をなさないのは明白であった。
公営の賃貸住宅で、 コーポラティブ方式を採用し、 事業主体(行政)、 専門家(建築家+研究者)、 住民が、 それぞれの意見や希望を述べて説明し、 話し合い、 模型や図面で理解のための努力をし、 議論して、 納得の上で物事を決めていくという協同のプロセスがとられた。
われわれの様々な提案も、 この方式ゆえに、 実現した。 なかでも、 南廊下型の立体街路の実現は、 新しく、 懐かしい風景を創出した。 地方都市の、 コミュニティ型の小集合住宅(立体集落)ゆえの風景ではあるが、 屋外も生活空間であることを証明している。 洗濯物を干している横を通れば立ち話が楽しい。 開かないサッシュに不審を感じ、 家の中で倒れて死の直前だった人が救われたという話。 物理的だけでない、 意識としての共生の風景がつくられ、 持続している。
陽のあたる冬の午後、 母と子供のあたたかく穏やかな情景。
陽のあたる廊下・南廊下型の立体路地
現代計画研究所 江川直樹
荒れ果てたRC中層箱形の公営住宅団地。 住民の生活は疲弊し、 断絶の風景を呈していた。
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