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津和野の景色(青野山から臨む)
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津和野は人口6千人くらいの非常に小さな人口のまちです。 鯉のいる掘り割りが有名な殿町通やメインストリートの本町通、 また今市通などがあるのですが、 津和野のまちあかりを何とかしたいとのお話をいただいたのは、 商工会の青年部の方々からでした。
田舎町なんだけれども、 なんとか住みよい都市環境照明にしたいということでした。 そこで日常的なあかりとか、 観光客向けのあかりであるとか、 あるいは通過する人のあかりであるとかいったテーマを設定し、 それを実現するために、 地域の人たちと一緒になって、 いくつかの照明実験をやってきました。 そこでは都市環境照明の都市軸と光の関係、 あるいはエリア、 グランドマークであるとか、 環境別のあかりのあり方をテーマ設定して、 そこにどんなあかりがあったらよいのかということをみんなで考えてきたわけです。
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太鼓谷稲荷神社上がり口
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太鼓谷稲荷神社では、 上がり口の鳥居で景観照明の実験をしました。 行灯は元々あったのですが、 中が暗いということもあって、 夜間はこわい感じになっていました。 そこであかりをもう少し中に入れてみようとか、 外から鳥居をライトアップしてみようと考えました。 そばにはSLが走っていますから、 汽車から見えるようにすることで、 津和野のイメージ付けをやっていこうというものです。
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稲荷神社のライトアップ
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頂上には稲荷神社がありましたので、 二台の投光器による単純なライトアップをやってみました。 近景と遠方からの見え方を考えた演出と日常のあかりを点灯した場合など、 どちらがいいのかということを、 みんなで検討してみました。
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永明寺〜日常的なあかり
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永明寺というお寺では、 正面の入り口の門に全くあかりがなくこわい感じになっていましたので、 夜間も利用できるような環境にしようとやってみました。 実験のポイントは、 日常の生活のあかりと、 イベントがある時のような非日常に対してのあかりを体験することで今まで見慣れた空間がどう変わるかという二点で考えていることです。
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永明寺〜非日常的なあかり
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三台の投光器であかりを置いた例は、 非日常的なあかりを意図したものです。 最近の傾向なのですが、 やたらライトアップするのではなく、 周囲の環境にもよりますが一個か二個で十分演出できるという好例だと思います。
またこの実験では障子のあかりも点灯させています。 普段は消えているんですが、 これをつけることで、 本堂のちょっとした生活のにおいと言いますか、 そういったものを感じさせるようにしたわけです。
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カトリック教会
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カトリック教会では煌々とライトアップされていたものを、 白熱灯にして少し光を抑えました。 また逆に、 ステンドグラスがあるので、 入り口の部分とステンドグラスの中から光を出すことで、 教会の活動感のようなものをしっかり出してみました。
ライトアップしますと、 観光客が夜出てきて、 記念写真を撮ったりするわけです。 何と言っても出やすくなりますし、 安心して散策できる、 それから夜の津和野の表情を見ることができるということで、 日常性とライトアップとの両面を兼ね備えた形で進めている例です。
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殿町通/建物のなかからこぼれるあかりと、堀割の行灯のあかりで校正した「生活のあかり」の提案実験
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殿町通には、 ろうそく白壁と水路の掘り割りがあって菖蒲が植えられ、 鯉がいます。 ここもライトアップする場合と、 行灯と街灯を点灯する場合の実験をしました。
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ライトアップの実験
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掘り割り沿いの街灯を消して、 ライトアップしている状態と、 街灯をつけて行灯を置いた状態の通りの眺めを実験によって確かめたわけですが、 最終的にはこの殿町通はライトアップではなく、 行灯と街灯を置くことで十分演出できるということになりました。 街灯は元々白色蛍光灯20ワットだったのですが、 電球色に変えております。
これらの実験は既存のあかりを利用しながらすべて仮設でやっています。 みんなが実際にライトアップされた環境に入っていって、 自分たちで「こんなまちあかりがいいね」ということを理解できるように、 観光シーズンに合わせ平成5年から毎年、 鷺舞というイベントがある時に、 約一ヶ月くらい夜間のライトアップを続けてこられました。
つい最近、 県道の整備があり、 照明や行灯、 小さな塀沿いのあかりなどを、 仮設していたものとほぼ近い形で整備されたということです。
さらにもう一つ、 ユニバーサルデザインとして、 拡幅された歩道には、 歩車分離用のボラードに、 足元灯が設けられています。
このように、 一つの社会実験から、 地域の人たちに認めてもらい、 あるいは地域の人たちが自分たちで継続していくということを積み重ねることによって、 最終的に都市のあかりとして認知され、 つくられていった事例として紹介させていただきました。
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