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ラジオ会館に見る秋葉原の縮図

 

歴史の生き証人

 
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ラジオ会館 オーディオ店
 
 専門店が移転した先鋭的な場の一つが、 JR秋葉原駅の改札を出たすぐの所にある「ラジオ会館」というビルです。 このビルはサトームセンやラオックスなどとは違って、 フロアを細かいテナントスペースに区切って、 そこにたくさんの小さな専門店が入っているタイプのビルです。 そのフロア構成を見てみると、 一階、 二階、 そして三階の半分くらいが冷蔵庫、 洗濯機、 クーラーといったいわゆる「白物家電」を扱う店です。 それから三階の残りと四階がオーディオ、 五階以上がコンピュータ関係と、 秋葉原の歴代の主力商品が、 地層のように積層したフロア構成をしていました。 秋葉原の歴史の生き証人のようなビルであったわけです。

 そのラジオ会館に、 98年以降、 侵略するようにオタク系の店が入ってくることになるのです。

 もともとラジオ会館には、 写真のような感じの店が多かったわけです。 でんでんタウンにもこうした店が多いと思います。 オーディオ店で、 スピーカーがたくさん並んでいる。


オタク系の店の流入

 
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海洋堂ショールーム
 
 これが98年に入ってきた、 海洋堂のショールームです。 左側の立像のモチーフは「ケンシロウ」と言いまして、 少年ジャンプに80年代に連載されていた「北斗の拳」というバイオレンス指向の漫画の主人公です。 そして右側は、 「新世紀エヴァンゲリオン」という、 90年代半ばに放映されたアニメのキャラクターです。 こういったもののフィギュアを販売しているお店です。 今では海洋堂と言えば、 むしろタイプスリップ・グリコとかチョコエッグのような食玩で有名ですけれども、 もともとはガレージキットを中心とするお店でした。

 

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漫画同人誌コーナー 本屋神社 アニメ関係のセル画やキャラクター商品
 
 秋葉原にこの時期に入ってきたのはガレージキットの店だけではなくて、 漫画専門店も同時期に流入してきました。 漫画専門店も、 秋葉原には一つもありませんでした。 写真の店は、 今ではラジオ会館の三階をワンフロアまるごと占領しています。

 そうした店の中には、 同人誌を扱っているところもあります。 「同人誌」というとお年をめした方なら文学同人のようなものを思い浮かべる方が多いかと思うんですが、 ここで扱われている同人誌はまったく違うシロモノでして、 例えば主要な漫画誌に載っている漫画やテレビアニメなどのキャラクターや世界観を借りて、 絵心のあるオタクたちは自分たちでパロディ漫画を描くわけですが、 そうしたアマチュア漫画の作品集です。

 このラジオ会館の漫画専門店の中には、 「本屋神社」と称しまして、 写真のような奇妙な神社があります。 よく日本のビルの屋上に小さな神社が建っていたりしますが、 これの奇妙なバージョンがラジオ会館の中にも建っています。

 さらに、 アニメのキャラクター商品を売る店や、 コンピュータ・ゲームの専門店もあります。 ただ、 コンピュータ・ゲームと言いましても、 「美少女モノ」と称する、 ポルノグラフィックなものを主体としたものが非常に多いという偏り方が秋葉原では見受けられます。

 

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ラジオ会館におけるオタク系専門店の進出
 
 これはラジオ会館のフロア構成の移り変わりを私が作図したものです。 黒く塗りつぶしてあるのが、 新しく入ってきた漫画・アニメ・ゲーム・ガレージキット関係の店です。 98年3月までは、 一般的なテレビゲーム用のソフトを扱う小さなお店が一つあっただけなのが、 今や事務所や倉庫に使われている部分を除けば、 半分以上のテナントスペースが、 オタク系の店によって、 虫食い状に占領されているのがわかります。

 

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オーディオ店と模型店と
 
 そして現状は、 昔ながらのオーディオ店の隣で、 新しく入ってきた模型店などが幅を効かせ、 オタクがショーケースを熱心に見ている、 というような内観のビルとなっているわけです。

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