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趣味が都市を変える

 

地理的要因でも、 行政的要因でも、 流通的要因でもなく

 ところが97年以降のオタク街への変化は、 決定的に異なります。 そこにアニメーターの専門学校があったわけではないし、 東京都がここをオタク街にすべく「オタク街化条例」のようなものをつくったわけでももちろんないし、 あるいは流通的にソニーや松下のような企業と、 海洋堂やボークスが何か関係あったかと言うと、 これは業種的にも全然関係がないわけです。 需要が集中するという経済的な要因はあったけれども、 経済的な要因の裏にはパソコンが好きな人はアニメや漫画やゲームも好きという、 趣味の構造、 個人レベルの構造があっただけです。 それが、 街を変えた。 趣味が都市を変えるなどということは、 これまであり得ない事でした。 それが秋葉原においては、 同じ趣味の人が地理的に集中するという異常な事態が起きることによって、 引き起こされることとなったわけです。


都市空間の質的変化へ

 これはただ単に商品の集中、 もしくは業種の変化ということにとどまらず、 都市空間の質的な変化をともなっているところがあります。 もともと都市空間は、 いろんな趣味のいろんな階層の人がいる空間ですから、 そのなかでもプロパーなスタイルとされるモダンデザインの建物が建ったり、 あるいは商業開発された街だったら、 西武や東急や阪急などによって、 それら企業が売り込みたいライフスタイルをテーマパーク的に演出するといったような事が行われているわけです。 そのなかにあってオタク系の店というのは、 それまでマイナーな趣味として、 むしろ路地裏のアンダーグラウンドな店にひっそりと存在していました。 しかしここにきて、 同じ趣味の人が都市的に集中することによって、 それまで個室に隠蔽されていた種類の趣味が、 駅の公共空間や中央通りに堂々と展開されていくようになったわけです。

 

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駅構内の壁面ポスター 駅構内の床 中央通ゲーム店前
 
 秋葉原駅の構内に左の写真のようなアニメ絵のポスターがでかでかと広告として張られるようになりました。

 真ん中はもともとポルノゲームを原作とするアニメなんですが、 駅の構内に床広告としてはられています。

 右は秋葉原の中央通りです。 中央通りでも、 でかでかとポルノゲームのポスターが展開されています。 テレビゲームやコンピュータゲームと言っても、 そのジャンルがかなり偏っていることは、 これらポスターの絵柄を見たらすぐ了解されるのではないかと思います。

 

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美少女系大型ポスター 秋葉原の上空
 
 ビルの壁面にも、 写真のような大型のポスターが展開されています。

 さらに、 屋上の看板を見ても、 アニメのキャラクターのようなものがあしらわれている。 都市的スケールで、 空間が質的に変わってきているのです。

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