◆まずは『活動』ありき
 一つ目は「まずは『活動』ありき」ということであり、活動を始めるための組織・体制や拠点、資金というものは後から考えるべきということである。ハード優先、ハコモノ優先の開発が限界を呈して久しいが、ソフトの分野においても、枠組みは後回しで中身を充実すべきということが言えるのではないだろうか。しっかり活動をおこなって、組織が必要と感じたならその時に組織化する、連携が必要と感じたならそれから体制づくりに取りかかる、ルールが必要と感じたならそれからルールづくりをおこなう、活動拠点が必要と感じたならそれから場所を確保する、資金が必要と感じたならそれから資金集めをするという考え方である。そういった『活動』が各所で活発化し、それらが重なり合うことが、まちを動かしていく原動力になるのではないだろうか。しかし、その動きをさらに発展させるためにはどうしたらいいのか、いかにしてハードを含むまちづくりへつないでいけばよいのだろうか。組織化なのか?連携なのか?中心となる担い手は誰か?行政の役割は?専門家の役割は?
 そこにはキッチリしたシステムがあるはずであり、ビジネスとして成立する答えがあるはずであると考える。
◆多様な分野の担い手が必要
 二つ目は建築土木分野などの従来からの担い手だけでなく、「多様な分野の担い手が必要」であると感じる。事
業主体となりうる企業や商業施設の経営者がまちづくりに関わる事例が増えている。また前述の「まずは活動ありき」の考え方から、社会実験、プロモーションイベントやさまざまな情報の受発信の場面を考えると、関わる担い手の分野は多岐にわたってくる。そういった多様な担い手がうまくまちづくりに関わるためには、どんなシステムがあり得るのかということは大切なことであると考えられる。また「専門家」というものの範囲・定義自体、再考が必要とも感じている。
◆フォーラムに向けて
 以上のように、まちづくりにおけるさまざまな担い手の存在が明らかになってきている訳であるが、本フォーラムでは多様な担い手のまちづくりへの関わり方、多様な担い手が関わる場での意見のくみ上げ方並びに意思決定の仕方、そしてその新しい状況の中での専門家の果たす役割について明らかにしていきたい。
 また今回はフォーラムに先立って、図4に示す流れで準備をおこなった。まず、大阪の代表的都心である中之島と御堂筋を対象に、まちづくりの担い手の方々へのヒアリングをおこなっている。またヒアリング結果のパネル展示をおこない、望ましい担い手像に関するアンケート調査もおこなっている。さらに、都心のまちづくりの新しい担い手の事例を会員のみなさんを中心に投稿いただいた。これらの結果を題材にフォーラムでの議論を深め、今後の都心のまちづくりのヒントになる成果をつかむことができれば幸いである。







図4 フォーラム全体の流れ
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