公共空間であり、ゆえに地元があるともないとも言えないなかで、水都大阪の再生を狙って水辺MAPの制作や水辺不動産の紹介、水辺での食事会に取り組んでいる。
サポーター(テーマ型)
同様に、地元かどうかに拘わらずファンが集まっているが、特定のテーマで活動する事に力点があるタイプである。
たとえば『水辺のまち再生プロジェクト』と『水上タクシー』はともに川にこだわっているが、前者は水辺を豊かにすることに主目的があり、後者は水上タクシーを走らせることに主目的があると読み取ってあえて分けてみた。後者も川や水辺をもっと活用することから水の都大阪の再生を具体化しようとの思いがあるので、当事者にとって、また時と場合によって、分類ははっきりしない。
また『水上タクシー』は収支こそ不明だが、継続的な事業を実現している点が素晴らしい。同様に『船場ギャザリング』は少数精鋭のキャリアグループで、インキュベーションスペースを着々と実現している。出世払いの賃料とのことだが、さすがに企業家有志の実現力は凄い。一方、船場の背割り下水が流れる裏路地の復活を狙う『太閤路地プロジェクト』は外部からのサポーターが多いが、地権者が参加し修復を実現している強さがある。実例を見せることで動きが広がるに違いない。
また『大津の町家を考える会』は町家や町並みに関心のある人たちの集まりだが、町家を手に入れ「まちづくり大津百町館」を運営している。将来は町家情報センター機能も備えたいという。
これらが不動産などなんらかの継続的な事業に取り組んでいるのに対して、『大オオサカまち基盤』は近代建築の活用にこだわったファンの集まりである。今のところ場外応援団という感じで組織も不確実性をよしとしているようだが、いずれ実際に動かしてみたくなるのではないか。事業に取り組むのか、そこまでは踏み込まないのか、今後が興味深い。
それに対して、純粋に場外応援団の色彩の濃いのが『大阪ええはがき研究会』である。いずれは絵葉書事業で一旗揚げたいというよりも、都心への愛を絵葉書というメディアに託していると読み取れる。
◆ラウンドテーブル
以上のように様々なまちづくりの担い手の出会いを大きな狙いとしているタイプを最後に取り上げたい。
『からほり井戸端会議』は行政のHOPE計画と連動し、町会をはじめ商店街やNPO、祭り関係者などが幅広く参
加している。従来、行政のパートナーと言えば地元自治組織やまちづくり協議会だったが、ここでは新参者などのパワーも汲み上げられる任意協議会となっている点が特徴的だ。
また『歩いて暮らせるまちづくり推進会議』も旧建設省の事業の受け皿として出発しているが、イベントなどを行なうなかで各種の団体が連携して継続的な取り組みに発展した。自治組織やNPOだけではなく、京都文化博物館や行政も参加した意見交換の場ともなっている。
『天神・渡辺通まちづくり研究会』も大企業や行政、商店街やNPOが参加しエリアマネージメントを福岡市に提案することを目的とした研究会で、主催者の異なる三つの社会実験を連携させる「天神ピクニック」にも取り組んでいる。景観法にいう景観協議会も担えそうなメンバー構成である点が興味深い。
一方『三休橋筋発展会』は対象としている地区が小さく地元自治組織やNPOの参加はないが、地権者や商店、企業や個人が参加しており、三休橋筋の魅力アップ、魅力発信に取り組むと同時に、道路整備等においては地元の総意を汲み上げ行政にぶつけていこうとしている。
『せんばGENKIの会』は商店会やまちづくり団体から異業種交流会まで参加しており、それぞれの活動を尊重しつつ、船場再生の夢を実現しようとしている。まだイベントの開催や情報交換が主だが、ゆるやかな連携まちづくりの主体となることが期待される。
一方このような恒常的な組織ではないが、一時的にラウンドテーブルをつくり社会実験を行なった例として『リバーカフェ実行委員会』がある。この実験を生み出した都市大阪創生研究会は在阪企業や行政などによる勝手連的サポーターだが、その有志が地元協議会の有志と手をつなぎ、それぞれの人脈で行政や企業の多彩な協賛・後援をえて水辺空間の利用の突破口を開いた実行型の組織である。
このように見てみると、ラウンドテーブル型のポイントは、@地元自治組織が直接間接に参加している事、ANPOなどの新参者にも開かれている事、Bゆるやかな地元の総意をつくりあげようとしていること、C行政と協働し、あるいは行政に働きかけようとしていることが挙げられる。
ラウンドテーブルは言い換えればまちづくりの担い手が参加し協議するプラットフォームである。これからの都心のまちづくりの担い手が集まり、議論し、実行力を高めていく場として期待したい。