・名称:旧居留地連絡協議会
・地区:神戸市中央区・旧居留地地区
・概要:基本は
、イベントや親睦会を会費で行う地区内事業者の親睦団体。景観形成地域指定を期に景観・まちづくりに取り組む。
・設立:1983年(戦後の国際地区共助会から名称変更)
・会員:地区内事業者、109社
地区内事業者の親睦団体
旧居留地地区には、ビルオーナーたちが組織していた自衛団を組み替えて戦後発足した「国際地区共助会」があった。これを景観形成地域指定の検討過程に参加する地域組織として「旧居留地連絡協議会」(1983)に名称変更したところから、まちづくりを提案する地域主体としての活動が始まる。
地区内の事業者であれば、誰でも協議会の会員になれる。会員は事業所規模やオーナーかテナントかの違いに関わらず、一律の年会費を払い、全て同じ立場で参加することが協議会の基本である。集められた年会費は、主に会のメンバーの親睦のために使われている。
景観形成地域指定をきっかけに、景観形成やまちづくり、地区の安全や防災、活性化にむけて主体的に取り組んできている。それでも、協議会の基本を、親睦会としているところに特徴がある。事業者の団体でありながら、利害をこえたつながりが持続できるのは、親睦会を基本にしていることによるのかもしれない。
まちづくりへの取り組み
神戸の中心が三宮に移り、建物更新が進まなかったことから当時は開発から取り残されたと悲観していた地区が、その歴史的建築物が評価され、レトロブームにのり元気を取り戻した頃にバブル景気に遭遇した。開発・高層化要求が高まる。まちの開発と歴史的町並みの保全をどのように折り合わせるかについて、地元・市双方から提案を重ね、概ね理解が進んだところに震災が起こった。
地域の町並みについて長い議論を続けてきたことで、
まちづくりへの土壌が形成されており、震災後はすぐに地域が主体となって、復興計画、地区計画、まちづくり
ガイドラインの作成が行われた。震災で多くの近代建築を失ったが、地区の歴史的町並みへの理解が共有化されてきたことが、新たな復興の町並みに表現されている。
ふるくて新しい地域マネジメントの主体
近世から京都や大阪では町会が地域管理の主体であり、町定や町触からそのしくみがわかる。連絡協議会もまた、ある意味で地域マネジメントの主体となりつつある。地域に対する投資、ソフトなマネジメント、地域のマーケティングなどの担い手となりつつある。
事業者はそれぞれの事業がよくなる条件を選択する。まちづくりや町並み形成により地区の賑わいや環境価値を高めることが、そこで事業するうえでのメリットとなるから、ルールづくりが進む。地域の安全を共同で取り組むことの必要を認識するから、地域防災計画を自主的につくり、役割分担ができる。
土地の売り買いだけの開発は、そのときだけの利益であり、しかも地域に開発利益は還元されない。地元の事業者が生き続けていくためには、地域の価値を高め、維持していくことが必要である。