・名称:箕面都市開発株式会社
・地区:大阪府箕面市
・組織:社員11人
(TMO箕面わいわい株式会社、社員4人)
◆概要
大阪府箕面市の「箕面都市開発株式会社」では、第三セクターの変革と中心市街地の活性化を進めている。行政、商工会議所、商店会、市民活動団体と連携を組みながら、観光・文化資源の発掘、コミュニティビジネスの支援をキーワードとした新規事業に取り組み、施設管理会社からまちづくり会社への方向転換を図っている。
◆空洞化する中心地
大阪府箕面市は、阪急梅田駅から電車で30分あまり、瀧と紅葉で有名な衛星都市である。都心から比較的近く、身近に自然を楽しめる点が魅力で、春と秋の行楽シーズンを中心に大勢の観光客が訪れる。
当社が事業を展開している阪急箕面駅前は、箕面の玄関口かつ市内の都心部でもあるが、再開発ビルを中心とする駅前商業の空洞化が深刻で、活性化が緊急課題であるにもかかわらず膠着状態にあった。
◆会社の変革
1978年
:当社が設立された目的は、阪急箕面駅前の再開発事業で建設された「みのおサンプラザ」と駅前市営駐車場の管理運営であった。管理事業が中心であるため、これまで市民と接する機会はなく、情報公開不足から経営の透明性を批判されることも少なくなかった。
2003年
:会社再建とまちづくり事業始動のため、民間出身の副社長が就任すると同時にまちづくり事業部が設置され、商業活性化と地域のネットワーク形成に取り組むこととなった。
機構改革、事業効率性の見直しなどの経営改革に着手するなか、以下の点に重点が置かれた。
人材登用
:20代〜30代のスタッフがまちづくり事業部に配属され、企画段階から自分たちで取り組む試みが始まった。
市民とのコミュニケーション力の向上
:これまではつきあいが薄かった市民活動団体と積極的に連携を組み、コミュニティビジネスの支援を視野に入れながら、顔の見える関係で“人と人”の糸を紡ぐ努力を続けた。
情報発信
:月刊ニュースレターの発行とホームページを充実させ、タイムリーな動きを伝える仕組みを作っていった。
行政・議会、地域関係団体との連携強化
:積極的な情報発信・情報交換により、政策企画や事業企画において、緊密な連携関係を構築した。
◆「橋本亭」の再生―地域資源の発掘
まちづくりの成功には、地域資源の発掘が欠かせない。それは場所や食べ物であり、文化や人である。
2004年11月
:当社が中心市街地の活性化を進めるうえで大きな起爆剤となった「橋本亭」は、駅から瀧に通じる通称「瀧道」にある明治時代に建てられた築100年になる旅館で、全面ガラス張の当時としてはめずらしい3階建ての建物だが、老朽化と後継者不足で閉店していた。所有者の協力を得て当社の企画で改修し、1階にカフェ&バー、うつわ店、貸しギャラリー、2階にはイベント会場を持ち、新しい観光スポット・アートスポットとして箕面の魅力や文化の発信する複合施設に生まれ変わり、訪れる人に親しまれている。
現在は、後述の箕面わいわい株式会社が運営を引き継ぎ、テナント誘致やイベント企画を行なっている。
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まちづくり組織
官制管理会社から民のまちづくり会社へ『箕面都市開発梶x
箕面都市開発 櫻井あかね
北摂コミュニティ開発センター 難波 健
図1 一の橋から見た橋本亭