・名称:NPO法人・生活応援団キャンドヘルス
・地区:神戸市新長田駅北地区東部を中心とした地域
・概要:地域の住みよいまちづくり支援事業、生活支援事業、地域住民とのアジア文化交流紹介事業、を目的とするNPO
・設立:平成15年1月6日
・会員:10人
復興まちづくりの過程から
震災復興区画整理事業が行われた新長田駅北地区東部においては、NPOを含めた地域活性化団体は、六つあるがこれらの多くは、まちづくり協議会活動が母体となって生まれ、協議会と連携して活動をしている。
そのうちの一つ、キャンドヘルスの主宰者である南研泰さんは、当地区協議会の商工活性化部会の部会長でもある。
地域商業の課題と地域流通通貨「ハーバー」
ものづくり産業におけるグローバルな経済、ボーダレスな流通という流れの中で、震災復興という激しい地域の流動化は、長田地域のシューズ産業事業所を大幅に減少させた。これは地域の店舗経営に大きな打撃を与えるものであるが、さらにJR南側地域での再開発、当地区内でも大型店が進出し、従来の店舗の経営は苦戦を強いられている。当地区の当面の課題は、従来の店舗などをいかに元気付けるということである。キャンドへルスによる地域流通通貨「ハーバー」(通称「地域共通割引券」といっている)は、まさにこの課題に対応するものといえる。
地域共通割引券のしくみは、図1に示すように、加盟する店舗が共通の割引券「ハーバー」を発行し、加盟店であればどこでも金券として使えるというものである。そしてその半券は、定期的な抽選で、さらに金券「ハーバー」が当たるという楽しみもある。地域共通割引券「ハーバー」事業は、まちづくり協議会というネットワークを背景に、80店舗ほどの参加を得て16年8月からスタートした。「ハーバー」取扱店は、飲食店や小売店だけでなく、ガソリンスタンド、クリーニング店、診療所などに
広がっている。
「ハーバー」の展開
キャンドヘルスは、地域流通通貨専門情報誌「クラブ・ハーバー」を発行しているが、これは、参加店などのPRや情報だけでなく、新長田地域のイベント情報などが載せられている。またラジオ大阪・生活応援団共同企画「元気関西人」の中で、参加店の紹介などを行っている。
参加店は、新長田駅北地区東部を中心に御蔵、菅原通、新長田駅南側地域にも広がりつつあり、「神戸ながたTMO」との連携も話し合われている(図2)。
市街地復興においては、「地区協議会まちづくり」が基盤となったが、このような動きの中からNPOなどの「地域活動まちづくり」が生まれていることに注目したい。