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名称:にしすがも創造舎
地区:東京都心・西巣鴨
設立:2004年夏
組織:NPO法人芸術家と子どもたち
NPO法人アートネットワーク・ジャパン
◆豊島区旧朝日中学校の再利用
 少子化問題を背景として、都内では廃校・閉校となる公立小・中学校の数が増加している。そのような施設を有効利用し地域の活性化に役立てようとする様々な試みが行なわれている。その取り組みの一つである『にしすがも創造舎』は、2001年に統廃合・閉校となった旧朝日中学校を利用し2004年の夏にオープンした。関東地区の小学校を中心に芸術家を派遣しているNPO法人「芸術家と子どもたち」と、東京国際芸術祭の運営や国際文化交流の促進など行なうNPO法人「アートネットワーク・ジャパン」とが共同で運営している。
◆『にしすがも創造舎』の二つのNPOの活動
 「アートネットワーク・ジャパン」は、中学校の教室や体育館を稽古場として若手劇団に貸し出す芸術育成支援活動を行なっている。常勤が6〜7名おり、年間予算も他の芸術系NPOと比較するとかなり多い規模の大きい組織だといえるだろう。一方、「芸術家と子どもたち」は常勤は1人、その他4名程度の非常勤スタッフで運営している。1999年に設立(法人化は2001年)して以来、ワークショップ型授業を行なう「エイジアス(ASIAS: Artist's Studio in A School)」を中心に活動してきた。西巣鴨に拠点を移してから、地域住民参加型のプロジェクト「ACTION!」を企画運営し、多世代・異年齢・新旧住民など様々な人たちと共にアートを通した出会いの場づくりを行政や企業と協働で行なっている。「“ASIAS”では、学校教育の中で、子どもたちにとっては〈潜在的な力を存分に発揮する機会〉、アーティストにとっては〈子どもたちと関わり、表現を深める機会〉を提供したいと考えています。一方、“ACTION”では、お年寄りと新住民の子育て層、そして子どもたちという3世代の人々がアートを通して出会い、交流する場を創りたいと思って
います」と代表の堤康彦氏は語っている。
◆「ACTION!」活動の一つとして
 今年2月『にしすがも活動写真館−ハヤフサ・ヒデトを探して−』がアサヒビールとの共同企画で開催された。そもそも朝日中学校が立地している場は、戦前に多くの娯楽映画をうみだした大都映画の巣鴨撮影所跡地だった。大都映画のアクション・スターであり謎に包まれたままであるハヤフサ・ヒデトの痕跡をたどり、地元の子どもたちが「ハヤフサ調査団」を結成し、お年寄りに当時の話を聞いて回った。そしてその様子をアーティストの岩井成昭氏がドキュメンタリー映像作品にまとめた。『にしすがも創造舎』での作品上映会にはお年寄りなど約500人が来場し、上映後には小学生とお年寄りが交流する姿が多く見受けられた。
 「ACTION!」のその他の活動として、地域の子どもたちを対象に美術や音楽、ダンスなどの様々な分野のアート・ワークショップを行なっている。『にしすがも創造舎』内だけの活動にとどまらず、周辺エリアや区の児童
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地元サポーター
芸術NPOによる『にしすがも創造舎』──文化芸術拠点整備と地域づくり
アート&ソサエティ 工藤安代

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