・名称:大津の町家を考える会
・地区:大津市中心部
・概要:一般市民が中心の任意団体
・設立:1997年7月
・会員:90人
町家が消えていく
滋賀県の大津市は、東海道の宿場町として、琵琶湖湖上交通の港町として、また城下町として発展してきたまちである。「」という言葉があるように、実際に百のまちが形成され、人と物資が行き交う賑わいのあるまちであった。
こうした歴史から、今日ではだいぶ消滅してしまったとはいうものの、まちのあちこちに往時の面影を残す町家と落ち着いた歴史的町並みが散見される。つい最近、大津市が行った調査では、市内中心部にみられる町家はおよそ1600軒と報告されている。
しかし、全国の多くの歴史都市がそうであるように、こうした町家も現代住宅やマンションへの建て替え、道路の拡幅などによる取り壊しにより、消滅が進んでいる。後継者が転出し、空家となっている町家も多いと思われる。前を通るたびにいつも目にしていた立派な町家が、ある日忽然と消え、更地になってしまう。そんな状況が、まちなかのあちこちでおきている。
「大津の町家を考える会」の発足と活動
町家は、まちの歴史と文化を伝え、落ち着きある町並みを形成する。そして、何よりも環境や人にやさしい住まいである。そんな町家の消滅に危機を感じた、まちなかに生活する2人の住民が、平成9年7月に「大津の町家を考える会」(以下「考える会」という)を発足させた。
大津のまちなかにある町家や町並みの再評価と保存・再生、まちなかの活性化などを目的にしている。会の発足以来、町家やまちなかをテーマにした、シンポジウムやフォーラムの開催、町家見学会などの実施、書籍(「大津百町物語」)や町家マップの編集・発行などに取り組んできた。
「まちづくり大津百町館」の開設
活動を続けるうちに、「考えているだけでは現状はかわらない。具体的に町家を何とかしよう」との思いが、中心メンバーのなかで高まるようになった。
そんななか、平成13年6月に、運よく10年近く空家になっていた町家が見つかり、借用することになった。敷地面積およそ百坪の本格的な町家で、大津市の中心市街地にあるアーケード型の商店街に面している。通りに面した店舗部分は、商店街が空き店舗活用事業で「コミュニティホール」に改修し、現在は市民活動団体が、主に高齢者を対象とした交流の場として運営している。
「考える会」は母屋の部分を借用し、掃除や改修な