都心のまちづくり その担い手
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グローバリゼーションとの闘い

 

 しかし、このような面白い時代の中で、本当にデザインを良くしようと思う場合、厳しい闘いをしなければなりません。

 海外資本を含めた資本との闘い、グローバリゼーションとの闘いです。このことについて、トマス・ジーバーツ(Thomas Siverts)は次のようなことを言っています。グローバリゼーションにより世界中の経済システムが平準化されてしまい、どこでもシステム化されているのです。実際にシステムの上で働き暮らす人はコスモポリタンであり、自分のアイデンティティや大事な場所性はどうでも良くなるのです。つまり、システムの上にのって自分が生き生きと活動できれば良いという世界です。世界の中に世界の資本が流入し流出しているため、大きな流動的な力がシステムに働いています。そのグローバリゼーションという領域の中で、それをどのようにコントロールするかを考えなければなりませんが、これは簡単ではありません。

 一方、そうは言っても人間はグローバリゼーションの中だけで生きるわけではありません。家族を中心とする身近な近隣がいないと暮らしていけないのです。大部分の人はコスモポリタンのようなホテル住まいを望んではいないのです。ちゃんとした家があって、近所があって、その中でゆっくりとした自分の生活スタイルを持ちたいと思っている人が多いのです。システムと対立する世界をジーバーツは「アゴラ」と言っています。アゴラ的な世界の中で、誰がどのようにアゴラを強化し、破壊から守るのかが深刻な問題です。

 ここまでの抽象的な話を具体的に説明していきます。

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