都心のまちづくり その担い手
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それぞれの活動が繋がるために必要なもの

 

いかに枠を越えるか

小浦

 交通の話が出ましたが、今のお話は既存の枠組みをいかにして超えるかという問題ではないかと思います。

 そしてお三方が携わられた活動は全部、中之島も淀屋橋も、その枠組みをいかに超えていくか、いかに繋いでいくか、あるいは異なる主体や活動を都市という場の中でどう繋いでいくかという事であったのではないでしょうか。

 そういった意味で、皆さんが実際に行ってきた活動の中で、その枠組みを超えるものが何であったのか、また色んなものを繋ぐという視点からどういった働きかけをしてきたのかお聞かせ願えますか。


危機感

森山

 繋がり始めるためには少しはエネルギーが要るような気がします。

 例えば先ほどの「せんばGENKIの会」でも、繋がり始めるためのエネルギーが溜まっていくきっかけは「危機感」でした。

 船場の場合、大阪の中心市街地がどんどん衰退していって、また行政の方には耳障りが良くないかもしれませんが、駅前再開発などには比較的お金が投じられていますが、市民は何だか放ったらかしにされてる感じもあった。それから住民がどんどん出て行ってしまって、働き手は残っているけれど地権者は実際にはもう住んでいないとか、色々複雑な危機感がどんどん溜まっていたのです。

 これは何とかしなければならないという事になったところで、ようやくある程度の情報と言いますか、共通の価値観みたいなものが生まれ、それが自分達のグループから次のグループへと繋がっていくためのエネルギーになったのではないかという気がします。


超常識

澤田

 私はやはり「超える」というのが一つのキーワードだと思っています。この「超える」というのは従来の線引きを超えるということになるかもしれません。それが、今言われていた「繋がる」ということに繋がっていくんだと思います。

 こうあるべきとずっと昔から教えられ感じてきた事は本当なのか、従来の方法でできなかった事をしようというときに、それをずっと踏襲していて良いのかという発想がやはり必要だと思います。そこを越えていくときに何か次のステップがあるのかなと感じています。

 そこで私は「超常識プロデュース」という事を言ってるんですけれども、あまり従来のやり方にとらわれているとなかなか進まないし、それで何かのせいにしても仕方がない。だから逆にある面自立して頼らないで、その中で何かを起こしていくことによって、ブレイクスルーしていくことによって、次の機会にはサポートしてもらえるような局面を自ら創り出す、要はそれくらいのことをしないと従来の状況を打破できないんじゃないかと常々思っています。

 どこまでできるかわかりませんが、百の理想よりも、やれることを一つでも二つでもやっていくことの方が前進するのではないかということを実感しています。そして、それをきちっと伝えること、コミュニケーションしていくこと、コミュニティを創っていくことの方がプライオリティが高いと考えて、それを実践しているつもりです。


人の繋がり

奈良平

 答えになるかどうかわかりませんが、私は「人の繋がり」というのでしょうか、人との出会いの中で輝きを持った提案をされる方や、眼自体に輝きがある方の繋がりの中で、困難を乗り越えていくということなのかなという気がいたします。

 役人はだいたい3年くらい、早ければ1年でポストが変わってしまいます。そういう意味では、正直言いまして担当する案件に対しては十分な専門家ではありません。例えば私は今トラック事業を担当しています。それぞれの業界にはそれぞれの目の輝きを持った方がいらっしゃいますので、そういった専門家の意見をよく聞いて、それを制度に結び付けていくわけです。そこには一定の役人のノウハウと呼べるものがあるかもしれません。

 これをまちづくりにおきかえますと、旧運輸省的な考え方からすると仕事がなくて、むしろ旧建設省側の仕事というイメージになるのですが、ではその同じ目的を、例えば「観光の振興という観点でやってみようじゃないか」とか、「公共交通の活性化という切り口で同じ行政目的を達成しようじゃないか」とか、そういうことを考えるのは十分に可能です。ですから、やはりそういう熱い思いを持った人との出会いが、大きなものを乗り越える契機になるのではないかという感じがします。

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