小浦:
多様な力が働きながらあるイメージを共有するいうのが、これからのまちづくりの動きになるであろうと思います。
ただその進め方は、多様なイメージを繋いでいったら一つの街のイメージになるのか、あるいは共有イメージを持った担い手達がそれぞれまちづくりを進めていくのか、もちろん色々な進め方があるでしょう。
今日していただいたお話は、まちづくりだと思って活動されているわけではなくて、それぞれの自己実現、あるいは仕事の一環としてなど、色んな立場で活動されているのかもしれませんが、そういったそれぞれの立場でなさってきたことは、現実としてどんな影響力をまちに及ぼしているのでしょうか。
例えば、森山さんは「子供をつくる」という話をされました。ある制度を突破する過程で、それを活かし、継承し、あるいはもっと発展させていく子供をつくるという事を仰ったと思います。実際に違う場所、違う形、違う仕組みで、リバー・カフェの子どもが生まれています。こういったことも街を変えていく影響力だと思います。
澤田さんも一緒です。今の少しくすんでしまったような街だからこそ、そこから始められる澤田さんのかかわり方が街に何らかのインパクトを残していっていると思います。
そのようなことで、皆さんの活動がまちづくりに与えるインパクトのようなものにお気づきであれば、お話いただけないでしょうか。
私達が何か行うときには必ず、他の人達が見て羨ましいと思うようなことをしようというニュアンスがあります。
というのは、「こうあるべきだ」という感覚では物事が進んでいかなかったり流れていかなかったりするのですが、それを逆に「あの人達ずるいな、何かうらやましいな」という感じの、例えば筏の上で船場の仕出し弁当をゆったり食べている、あっちの方がいいなと思わせると、上手く行く感じがあります。(それを実際に形にしようとすると難しくて多少汗をかかないといけないわけなのですが、)そうしてでもでき上がったものはうらやましいと思ってもらえるような事例を積み重ねていこうとしているんです。それが子供を作っていくためのポイントの一つかなと思っています。
二つ目のポイントとしては、今までなかったり考えもしなかった事でも、僕らは必ずきちんと申請を出して、こっそりやるのではない形で実現していることです。「あんな事して良いんだ」とか、あるいは「あんな事して失敗するかもしれないな、でもやって良いんだ」と受け取ってもらって、みんながもう少し気軽に色んなチャレンジをしていくきっかけになってくれればという思いでやっています。
小浦:
それはやはり会社の仕事としてはできませんね。その担い手の立場としてはどんな可能性がありますか?。
森山:
しかし仕事の部分にもそういったものが少し混じってきているんです。逆に言うと私生活にも仕事的なものが混じってきているという事で、何だか無段階に広がっているとも言えると思います。
例えばこのプロジェクトは一部仕事で会社にもある程度の利益をもたらそうとか、これは7割私的かなとか、そんな感じで活動していますね。
小浦:
それが森山さんの仰る新しい市民的担い手なのかもしれませんね。
森山:
そうなんでしょうね。私の中では普通というか当たり前の事というように今は思っている
私の場合、まちづくりが何なのかというのは難しくてよくわかりませんが、先ほど出したような活動は割と好きなので、好きだから一生懸命やっているところもあるんです。ただ、そこで実はものすごく大切にしているのは、私にとってビジネスであるという事なんです。
我々の会社は零細企業なので、やはりボランティアでやっていたら続かなくなってくるんです。継続していくためには経済性が必要です。ただ経済性だけでやりたくないという思いもすごくあるので、そのバランスの中で活動しているというのが偽らざるところです。
つまり我々がプランニングしたりプロデュースワークしていくときには、やはり必要条件として経済的に成り立っている事が前提にあるわけです。
ただ、経済的にやっていけるだけなら他にもありますので、自分たちが本当にそれをやりたいという動機付けという面では、社会性であったり自分たちの意義であったり自己実現であったりという動機が十分条件として備わっているべきだと思うのです。
そのバランスの中でやっているので、結構大変かもしれないけど面白いところもあって、そういった所で自分たちの存在意義みたいなものを見い出しているのが我々の活動であると思います。
活動が広がるポイントは
みんなが羨ましがること
森山:
経済的にも成り立つ
澤田:
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