都心のまちづくり その担い手
左三角
前に 上三角目次へ 三角印次へ

 

地元にこだわる企業が必要

 

小浦

 確かに大阪は特殊かも知れません。今回ここに企業・事業者の方がいらっしゃらないので話が空回りしている所もあるかと思いますが、実際、街の意思決定を誰がするのかという問題がありますね。

 例えば澤田さんはビジネスという立場ですから意思決定をしているわけです。

 一つ一つの意思決定は主体が決めることですが、街全体で何かを動かしていこうというときにどう決めていくか、そういったことも関係あると思いながら今のお話を聞いていました。

 仕組んでもなかなか広がらないし、広がるような場合は、自己増殖的に広がっていく。つまり、自分で意思決定したことが街の意思決定の輪の中に入っていくような格好です。

 今日はそこがなかなか議論できないなというのがありまして、皆さんにも聞いて頂きたいと思うのですが。

藤本(京都市立芸大)

 私はいくつかの自治体で景観のまちづくりをお手伝いさせていただいているのですが、今のお話の関連で大阪の問題点として二つあると思います。

 一つはやはりメディアが弱いことです。東京のメディアの支社はあるのですが、独自のメディアを持っていないわけです。京都は京都新聞があり、地元の話題がすぐに取り上げられます。

 それからもう一つは、先ほど森山さんが逃げられない企業をつかまえたと仰っていましたが、正に今まちづくりを地元でしていると、東京に本社があって、地元の大阪の支社がジャッジできないというケースが結構あるんです。国は地方に譲って、地方がジャッジできるようになっているのですから、是非大企業においても支社がジャッジできるような仕組みに変わっていってくれたら、大阪ももっと変わっていくのにと思います。

蓑原

 今のご発言と、先ほど奈良平さんが仰ったことと絡むんですけれどもね、基本的にまず問題なのは税制なんです。要するに払った税金が自分の地域に還元されない仕組みになっていますから、企業が頑張って自分のところにもう一度金を戻そう、地域還元しようという意識がなかなか持てないわけです。ただ、東京本社型になってしまって全部東京に吸い上げられていくということ自体は今大きく変わろうとしていると僕は思っています。自民党の税調族がどこまで譲るかわからないので簡単にはいかないかもしれないけれど、少なくとも構造的にはものすごく変わってきている。

 そうすると、やはり地元の人が地元を活性化するために自分の地元に持ち寄りの精神でお金を投入すれば、それが名誉になって自分に跳ね返ってくるとかいったシステムが必要になります。

 アメリカではまさにそれで、お金を儲けたらノータックスの寄付をして、大学や病院、美術館ができていますし、最近はアフォーダブル住宅もそのお金で持つような構造になってしまっています。

 ですから今後はおそらく大きな政府はなくなって、税金を地域の活性化に戻すことができないとすると、やはりいかに民の金をタックスシフトみたいな形で地域に落としていくかというシステムを作らなければ今の問題はおそらく解決できないのではないかと思います。

 また、そういうメンタリティを持って大阪の企業にまたきちんと大阪に戻ってくるということがない限り、東京ばかり向いているようではダメだと思うんですね。

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ


このページへのご意見はJUDI

(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai

JUDIホームページへ
学芸出版社ホームページへ