都心のまちづくり その担い手
左三角
前に 上三角目次へ 三角印次へ

 

地元、町内会との関係

 

吉野(DAN計画研究所)

 今回の担い手の議論で一番大事なのは、本当の公権力を行使する場合、地元というのは町内会です。大阪で言えばいわゆる地域振興町会という組織が事業を興して公園を造ったり道路を造ったり、街を修景したりするわけです。そのときに地域合意というか町会の同意を得る手続きをしていかないといけないわけです。

 そのプロセスに皆さんのような色んなまちづくりNPOとかまちづくりグループとか一杯出てきますが、それらに本当の決定打を打つ前の賑やかし的な効果はあっても、町会が反対するかしないかとかのギリギリのところでは、ある種別の論理、別の意思決定がされているわけです。そのときに行政あるいは地方自治体とそういった地元を結ぶのは、実はコンサルタントなんです。

 ところがコンサルタントは、少なくとも私も含め今日来られている方が発言されないのはですね、まあ言えば陰の存在と言いますか、少なくとも大阪では自立した存在になっていません。あくまで行政のサポートという立場で地元に入っていくわけです。ただし、そのかわりコンサルは何があっても責任をとれません。そういう現実を踏まえて、地域を動かしていく担い手について議論していただきたいわけです。

 先ほど鳴海先生が企業、それから蓑原先生が家業と言われましたが、例えば三休橋や船場には辰野さんというディベロッパーというか大地主さんがいらっしゃるんですけれども、たくさんの地所やビルを持っておられるわけですから、本来あそこが発展すれば企業としてはメリットがあるはずなんです。ところが、辰野さんが色んなまちづくり活動をサポートされ、またご本人も文化的なことを色々されても、企業がついてこない。

 余所の例などを見てみましても辰野さんのような地主や会社が、あるいは町会も含めてもっと沢山で連合を組んで表で堂々と出てきて、ここを良くしたら我が社は儲かるとか、ここを良くすれば我々の財産の付加価値が高まるんだとか、そういう議論を堂々と言えない雰囲気があります。

 僕がまちづくりで行くときも、ボランティアのまちづくりの人ですか、商売でやってる人ですかと聞かれるんです。最初はボランティアでも最後はちゃんと商売しますよ、とか、ただでしゃべるけど次は金をくださいとかですね、あるいは逆に調査が終わったら後はボランティアで付き合いますよとか色々言うわけですが、そういう事をこういった場で、一度本音をしゃべってもらいたいと思って発言させていただきました。

森山

 三休橋の例で言いますと、私が竹田設計として、あるいは誰かがコンサルとして街の人とお付き合いしている分には、やはり黒子というか陰の存在として関わって、主役は街の人という形になってしまうのかもしれません。ところが、たまたま三休橋筋愛好会は複数のコンサルの人間も街の企業の人間も入っている団体として、それ自体が市民として一応認めて頂いているのです。そういった中で、町会や辰野さんと一緒に同じ目線でまちづくりを考えていくことがたまたまできているということがあります。

 そういう意味で、先ほど働き手も市民として見て頂きたいという話をしたのは、やはり都心では町会や連合町会の役割がちょっと違っていて、ものすごく長い目で見れば町会の利益になるのかもしれないとしても、そこまで町会は積極的に動けない現状もやはりあるんだと思います。そんなときこそやはりコンサルの人達や企業の人達が複数集まって、一つの市民として声を挙げれば、私は楽観主義ですので、その街の人達も仲間だと思ってお付き合い頂けると考えています。

左三角前に 上三角目次へ 三角印次へ


このページへのご意見はJUDI

(C) by 都市環境デザイン会議関西ブロック JUDI Kansai

JUDIホームページへ
学芸出版社ホームページへ