都心のまちづくり その担い手
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ディスカッションのまとめ

 

小浦

 都市は、人も仕事もずっと入れ替わりながらずっと生き続けていくものであると考えています。郊外の場合は同じ人が同じようにずっと暮らしているわけで、それはそれで良いところも問題もあるとは思うのですが、都市の場合はそうではなくて、土地とか建物とかいったフィジカルな要素も更新されながら、環境は一定の質と意味を持ちながら人や仕事がどんどん入れ替わっていく。しかしそれが上手く繋がっていくということが都市の持続と言うべきものなのではないでしょうか。

 澤田さんの場合は、新しい価値を上手く入れ替えた一つの例だと思います。都市はずっと元気なのでは無くて、やはり浮き沈みしますから、その中でいかに上手く環境の質を維持していくか、あるいはいかに上手く入れ替わっていくか、それを担う担い手を得ることができるかが一つのテーマとしてあると思っています。

 しかし担い手が常に現れるのはおそらく場に力のある、船場や御堂筋、中之島だからこそでしょう。そしてそういったときの担い手には、創る側とそれをコーディネートする側があると思うんですね。そこでの大きな問題は、いかに担い手の活動あるいはその活動が生み出した動きを持続できるか、それがいかにインパクトを与えて実際の企業や住民の意思決定に繋がっていくかという所だと思います。

 道路が出来るとか、変なモノが出来るとか、あるいは駐車場問題とか、とにかく何か問題が起こって、それに対する問題意識を共有化できる場合は意外と人が集まりやすい。しかし都心の場合は、都市が生き続けるための担い手の多様化の議論であり、話がわかりにくくなったのではないかと思います。

 都心の持続的更新のなかで土地・建物などの所有者、あるいは公共や地元と呼ばれる立場とは異なる人達や企業、グループが、ときには公共と連携しながら、街の場所のアイデンティティを創っていく担い手となる多様性が今見えてきています。

 それをどう位置づけていくかが今日の課題だったわけです。それが今の枠組みの中ではなかなか上手く表現できなかったので、議論が分散してしまったところがあったように感じています。

 大阪の都心では多様な担い手がでてきていますが、ビジョンを共有しているのではないようです。それぞれが自律的に街に何かを働きかけていく取り組みがある状況ですが、議論をふまえると、それらが、その街に対して何らかの共通のリアリティのあるイメージを持ち、ビジネスモデルとまでいかなくても活動を持続させる仕組みを作り出し、街に働きかけるという意味での公共性をもつことで地域の意志決定やデザインに関わるというところが、新しい担い手を考えるうえでキーになりそうです。

 タウン・マネジメントは、こうした担い手の活動をつなぎ持続させる仕組みを考える視点ではありますが、大阪都心の動きでは、ある意味、蓑原さんの言葉を借りれば、個人的、家業的、文化的で、21世紀型といえる状況です。これらが街づくりにインパクトをもち、持続的パワーを持つためには、もう少し制度的整備も必要なのでしょう。また、街で生きる企業の街に対する取り組みも今後注目すべきでしょう。

 長い議論を通して、不十分ではありますが、新しい担い手の可能性を見ることはできたと思います。それぞれの地域ごとに担い手のあり方も多様性がありそうです。今日は長い時間、どうもありがとうございました。

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