神戸は市域の10から20%の所に人口が集中して発展しきた。
高度成長期の都市化の圧力に対して、 既成市街地の再開発と郊外の新しい開発と海上部での埋めたてで対応した。
これらの開発により、 既成市街地に集中していた都市機能の分散を図ってきた。
今回の震災では、 都市機能が分散していたことにより、 神戸の都市機能が全てマヒする事態に至らなかった。
ポートアイランドは三宮の南に約436ha、 六甲アイランドは住吉の南に580haの規模で作られている。
ポートアイランドは基本的には港湾機能の拡大を主目的としていた。
海上輸送のコンテナ化に伴う大きなバースの必要性に起因するが、 我が国で始めての本格的な総合的都市機能を有した人工島として開発された。
住機能としては2万人を計画、 現在約1万7千人が居住している。
小学校が1校で市内で一番の過密校となっている。
働く機能としては、 外周部の港湾機能等の他にファションタウンゾーンがある。
また、 市民の憩いの場として南公園、 ポートピアランドなどがある他、 短大、 市民病院がある。
ポートアイランドは公共主導型の街づくりが特徴となる。
建築についてはそれぞれの建築主体が創意工夫を凝らして、 良質な都市景観形成を目指した。
ポートピア大通りについては、 南北に緑の軸を通すことを目的に65mの幅員で計画し、 景観の軸を形成している。
市民広場はポートアイランドの『へそ』として位置づけているが、 広場を中心として建築物が表情を醸し出すように計画している。
ポートピアホテルが典型的であるがポートアイランドは全体的に白っぽい建物が多い。
行政で白に決めた訳ではないが、 明るい色調に誘導したことにより白っぽい街が形成された。
一部には、 せせらぎのある歩道を計画し潤いのあるまちづくりを目指している。
南に出現しているポートアイランド第2期は390haで、 ほぼ埋め立てが完了しているが、 現在、 新しいまちづくりを模索している段階である。
六甲アイランドは、 ポートアイランドの経験を活かし、 これとは多少味付けの異なるまちづくりをしようと進めてきた。
外周部がコンテナー埠頭というのは、 港での開発の宿命と言わざるを得ないが、 中心部を都市機能ゾーンとして計画している。
都市機能ゾーンでは住宅施設、 商業施設、 業務施設、 教育施設など様々な機能がミックスした都市を形成しようと考えた。
人口規模は3万人。
小学校は2校を計画、 過密化を避ける計画とした。
ポートアイランドとの大きな違いは、 街づくりに民活事業コンペ方式を導入したことである。
行政はインフラ整備とおおまかなガイドライン導入にとどめ、 個々の街区の整備は民間の事業者に任せる方式とした。
公共と民間が連係した街づくりを目指した。
街づくりではスカイラインを豊かにするため中心を高く周辺部を低くするヒエラルキーのある街並み構成とした。
ポートアイランドが白い街なのに対し、 六甲アイランドはカラフルな街といえる。
風景という面では、 ポートアイランドでは周りが海であるにも係わらず、 水が感じられないと言う批判があり、 六甲アイランドでは出来るだけ身近に水に親しめる空間を創ろうと考え、 親水空間の整備に努めた。
島の南端にはマリンパーク(公園)を計画し、 海のそばまで近付ける空間づくりや、 都市機能ゾーンの中心部に南北に流れるリバーモールを計画している。
特に、 リバーモールは六甲アイランドの中心的な景観を創りだしている。
夏にはリバーモールで小さな子供が楽しそうに遊ぶ風景がみられる。
リバーモールでは役所で創ったものに柵を設けない画期的なデザインとなっている。
都市機能ゾーン、 港湾ゾーンを分離するためグリーンベルトを計画し中心部の環境保護を図った。
街角広場を半公共的空間として誘導。
街角では民間主導で彫刻を配置し、 文化の香のする街づくりを目指した。
また、 シティモールを巡らし歩車分離、 バリアフリーのまちづくりを行っている。
震災の課題として一番大きな問題は交通が遮断し孤立化したことである。
特に、 新交通システムが複雑で復旧が遅れたことが大きかった。
このため、 ポートアイランドでは設備の充実したポートアイランド市民病院の初期活動が遅れたことが問題であった。
地盤の液状化、 道路との段差による通行不能、 護岸が大規模に破壊されたことなどが見られたが、 建築物の被害が既成市街地内と比べて少なかった。
また、 新しい都市ではあるが住民自治の機能が旨く作用した。