JUDI関西 「地域アイデンティティの相貌」 by 材野博司
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1 「まちとアイデンティティ」
を考える

 ご紹介いただきました材野でございます。

問題提起として先ず3人登場します。

私が最初になるので本フォーラムの経過や問題の主旨などを一部含めながら話を進めさせていただこうと思います。

   

 本フォーラムのテーマは「まちとアイデンティティ」となっており、 一度「まち」とアイデンティティというものを別々にしっかりと勉強してみて、 その後に両者の関係を考えようという内容になっております。

先ほどの話で、 レルフ氏は、 「まち」の中の「場所」というもの、 すなわち、 「まち」より、 もう少しスモールなスペースの中に、 アイデンティティというものが実体として見えており、 それがある集合を伴って「まち」になったり、 また広域圏の都市になったりする、 といったような話をされました。

そのようなアイデンティティというものを、 しっかり見てみようというのが私たちの出発点です。

そしてその「まちのアイデンティティ」というものを一度つかみ、 「まちづくりのアイデンティティというものは本当に可能なのかどうか」、 「まちづくりにおいて、 アイデンティティというものをかえって考えない方がいいのではないか」などという疑問などを、 フォーラム委員会や、 問題提起の3人から素材として提供させていただいて、 あとのシンポジウムの中で、 展開をしていっていただこうというのが、 本フォーラムの形となっております。

   

 ワークショップを本フォーラムの前にやりましたときに、 新旧4つの都市をとりあげましたが、 左の方の端に海上都市というNEW NEWしたものがありまして、 右の端に京都というOLD OLDしたものがあります。

その中間に西宮と能勢という日常の空間の代表とも言えるものががあります。

中間に日常の空間をおき、 両端に、 ある意味でアイデンティティは明確ではあるがややちょっと非日常的な空間をおいて、 その4つの空間を対象とするワークショップを手繰り寄せることにより、 色々なアイデンティティ、 つまり非常に明確な非日常なアイデンティティと、 私たちの生活から引き出す日常的アイデンティティを考えてみようではないかということが、 今回の主旨ではないかと思います。

   

 これまでの各パネリストや今日のパンフレットを見ていますと、 皆さんそれぞれにアイデンティティとは何か、 特に地域や空間のアイデンティティとは何か、 ということで様々な解釈をしておられます。

アイデンティティはそのようなものでしょうし、 それは又、 先程のレルフ氏の解釈でもあると思います。

しかし、 討論する上でのある程度の共通認識も必要と思いますので、 今一度、 本フォーラムで、 「なにがどのようなアイデンティティか」ということを考えていこうとおもいます。

   

 また一つは、 震災があってもう一度造りなおすときに、 戦災復興みたいな近代ビルが並ぶ近代都市が、 より促進された形で出来はしないかという危惧があり、 フォーラム委員会から、 もうちょっと考え直していただけませんかという生々しい討論をしよう、 という話も当初はありました。

でもそれはこちらで一生懸命やっておられる方に対して第三者的に入るのは失礼にあたります。

そのようなことよりも、 たまたまこの会議を神戸で行うのですから、 ここで「まちのアイデンティティ」そして「まちづくりのアイデンティティ」というのはいったい何なのか、 ということを考えることに何か価値を見いだしていこうじゃあないかという話になりました。

しかしアイデンティティというものはぐちゃぐちゃさわってみてもどこにいくか分からない代物なのに、 都市環境デザインのテーマとして取り上げていくというのは非常に困難であるという話もあります。

ですが、 とりあえずやってみて、 そのような重要性というものを感じてみようということになりました。

   

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