JUDI関西 「地域アイデンティティの相貌」 by 材野博司
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5 地域アイデンティティづくり
にむけて

 最後に二つお願いしたいことがあります。

先ず地域アイデンティティのグランドデザインということについてです。

会員の方々は、 建築からランドスケープ、 同じ環境デザインでもそう広い域でなく、 今日レルフ氏がいっておられました場所やneibourhood、 それからdistrict、 いわゆる地区程度までを専門領域とされる方が多いのですが、 そのときに、 どうしても限界というものはある。

いわゆる都市構造の骨組みのところでアイデンティティを布石するということの重要性、 つまり、 古い町並みも織りこんだ都市の割りかた、 道路の布石のしかた、 そして海との関係、 地形との関係にあると、 私はワークショップを通じてより強く感じました。

もう少し都市構造のところに少し入り込んでいただく機会を、 都市環境デザインの中でなんとか創り出していけないでしょうか。

土木と都市環境デザインという様に分けられていますが、 いわゆる土木デザインの中にそれを織り込むとともに、 逆に土木的な都市構造を造る段階で、 都市環境デザインの方々が、 いわゆるデザインという立場で入り込むこ余地を創っていただきたいというのが一つのお願いです。

   

 それから最後の最後に日本的空間造りへの布石をしていこうではないかということをお願いしようと思います。

これは時々はいわれることでありますが、 つまりそろそろ近代に持ち込んだコンクリート構造物群の中に日本的空間を入れられないか、 あるシステムとしてそれを織り込めないか、 ということです。

ベルク氏の言葉で言うと、 「一つの発端を一つの結果に結びつける」ものではなく、 「それぞれの状況が固有の同時性において自発的に現れ、 数珠繋ぎに」なっていく、 「進行的同時性」という作り方が日本にはあるのだから、 そのような作り方をしていくべきだということです。

そして、 それはレルフ氏の言っていた「場所性」と「ヒューマンアーバンスモールスペース」というようなアイデンティティがあって、 ヒューマンなスケールを持つ空間群を多様的で複合的に数珠繋ぎしていくようなものであって、 それでいてある柔らかい秩序を持っているものだと思います。

   

 その二つのところに私は手がかりがあるように思います。

いずれにしても、 日本の国の特性に合い、 日本に住んでいる人間の感性にあったものを、 都市環境デザイン会議のメンバーとしてどこまで創っていけるか、 創っていっていただけるかということであります。

そういった事を期待しまして、 私としましての第一問題提起にさせていただきます。

   

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