高密な都市空間。そこでは、 知恵をしぼってスペースを見いだし、 創意工夫をこらした緑化のデザインがいろいろとみられる。
空間にゆとりのない都心では、 ちょっとした空間を巧みに活用した緑化の工夫がみられる。
長屋の軒先に植木鉢を並べる風景は、 古くからおこなわれてきた都心居住地の緑化デザインであるが、 マンションでもベランダ緑化がさかんだ。
猫の額ほどでもいい、 わずかな空間さえあれば、 人々はそこに緑を置こうと試みる。
こうした涙ぐましい緑化の努力は、 ときに、 驚愕の風景をつくりだす。
「何だこれは!」「ほお、 こんなところにも緑が植えられるのか」…。
見て楽しい、 そして、 心なごませる風景に、 まちを歩いていると出くわす。
それらはいわゆる環境デザインの専門家によるものではなく、 まちに暮らす人々の手づくりのものである場合が多い。
それぞれの緑を見せあうことでまた新しい工夫が生れたりする。
こうした風景こそが都心ならではの緑化の風景ではなかろうか。
このような風景の発見が、 都市環境デザイナーにも、 あらたな都心緑化の手がかりやヒントを与えてくれるに違いない。