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都市の縁側

鳳コンサルタント 佐々木 葉二

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都心の河川空間は、 水面という庭を眺める縁側のような空間として利用したい。

そこはパブリックスペースでありながら、 個人が戸外室として楽しめるプライベートスペースでもある。

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画像t015-1 パブリックスペースでありながら、 個人が戸外室として楽しめるプライベートスペースとして二重の使い方ができる河川空間(サンジェゴ)
画像t015-2 都心の河川空間は、 建築群の裏道ではなく水面という庭を眺める縁側のような空間として利用したい(広島市猿猴川)

情景を生む「縁側」

 都心を流れる河川沿いの空間は、 多くの場合、 見通しの利かない建築の壁や街路樹に囲まれて周辺街区から隔離されている。

そこは、 まるで都市の「裏道」のような場所となっている。

   

 しかし、 河川沿いの空間こそ都市の活気が伝わる場所であり、 空と水の雄大な変化が眺められる都市と自然のエッジでもある。

   

 この空間は「道」としてよりも、 「街」の「廊下」や水の庭を眺める「縁側」として捉えた方が、 新たな役割を期待できる。

それは、 来街者を心地よく迎え、 目的地に誘うパブリックな「縁側」であるとともに、 庭をもてない都心居住者にとっては、 水面という庭を眺める格好のプライベートスペースともなる。

そのために、 河川に面する建築と緑を一体化して、 各所に「抜け」、 「溜まり」の戸外室化を試み、 さらに、 船の甲板のようなボードウォークの床(フロア)をもつ「縁側」ができれば、 河川空間にもしっとりとした情景を呼び戻せるだろう。

   

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