住みあう―知りあう
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たくさんの身近で馴染みの店を

大阪大学 鳴海 邦碩

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かつてまちなかには暮らしの店がたくさんあった。

人口がもどれば店が増えるのか、 店が増えれば人口が増えるのか。

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画像t022-1 都心居住者の生活行動の一例。

住まいの周りと、 梅田周辺が活動拠点になっている。

職場は職場で独立

画像t022-2 行動型別に見たなじみの店の位置と平均店数
画像t022-3 映画「キングコング」のためのコンセプトスケッチ(1933)。

都心に迷いこんだジャングルの巨人
(By M. Larrinaga, W. O'Brien and B. Crabbe/Lent by Mrs. Merian C. Cooper/Photo: Chris Casler/(◎C)『芸術新潮』1988年4月号より)

 十数年前から、 都心人口の減少が問題視され、 各方面で解決策を見いだすべく調査研究がなされた。

そのひとつである大阪市の都心居住者に対する調査から、 彼らの行動をみることにしよう。

   

 都心のマンションに住む人たちの、 一日の地域的な生活行動を調べてみると、 住んでいる場所と職場の他に、 多くの立ち寄り先がある。

それは、 仕事上のものであったり、 プライベートなものであったりする。

右上の図は、 住まいと職場が少し離れている例。

梅田が複数の利用施設が集まる極となっており、 住まいの周りにも利用施設がある。

   

 都心居住者は、 徒歩圏内に3店ほどの馴染みの店をもっている。

スーパーマーケットが一番利用され、 ついでデパート。

食堂、 美容院、 喫茶店、 書店が続く。

   

 離れた場所だと、 飲み屋、 文化教室、 洋品店。

貸レコード屋、 麻雀屋があがっているのも懐かしい。

   

 こうした調査結果を見て、 なぜか〈キングコング〉を思い浮かべた。

摩天楼のジャングルを動き回る様。

都心のジャングルを動き回る都心居住者は、 それぞれに活動拠点をもっているのである。

   

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