高密度な都心。そこでは、 柔軟性のある空間をデザインするとともに、 それをじょうずに使いこなす工夫が大切である。
建物などが高密度に立地している都心。
何もないオープンスペースは、 そうした都心空間における貴重な空間である。
特定の目的のために、 この貴重な空間を占用してしまうのはもったいない。
例えば「みち」は、 単に人や車が通行するためだけの空間ではない。
子どもたちの遊び場であり、 立ち話などコミュニケーションの場でもある。
時には地域のお祭りやイベントの空間にもなったりする。
沿道の住民が丹精込めた花や植木鉢が並び、 日常生活がにじみだした親しみやすい景観が形成される。
かつて歩行者天国が各地に出現した。
自動車に占用された「みち」を人(歩行者)の空間として取り戻そうとする試みであった。
空間を多目的に使う試みともいえようが、 そうした利用に対応できるデザイン的工夫が十分でなかったこともあり、 日本では必ずしも定着していないようである。
みち、 公園、 校庭、 駅前広場、 駐車場、 空き地………
ひとつの空間がさまざまな役割を担う。
平日と休日、 昼間と夜間。
時間によって異なった目的に使われる。
高密度な都心では、 何もない空間は貴重であり、 多様な利用に対応できる柔軟性をデザイン的に工夫することが必要である。
そして、 豊かな発想で、 そうした空間をじょうずに使いこなしていくことが、 都心を一層楽しく豊かなところにするのではないだろうか。