住みあう―使いあう
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空間を柔軟に使いこなす

アーバンスタディ研究所 森川 稔

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高密度な都心。

そこでは、 柔軟性のある空間をデザインするとともに、 それをじょうずに使いこなす工夫が大切である。

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画像t033-1 「みち」はさまざまな役割をもっている。

子どもたちの遊び場であり、 コミュニケーションの場であり、 時には地域のお祭りやイベントの空間にもなったりする(大阪市港区)

画像t033-2 車道が夜間は野外のレストランに変身する。

涼しい夜風が吹きぬけるビルの谷間のレストランは、 都心を活気づける一興の場となる(シンガポール)

画像t033-3 フリーマーケットが各地で盛んである。

それは仮設の空間である。

公園、 学校の校庭、 駅前広場、 駐車場、 空き地などが、 市民の参加によって活気ある場に変身する(大津市)

 建物などが高密度に立地している都心。

何もないオープンスペースは、 そうした都心空間における貴重な空間である。

特定の目的のために、 この貴重な空間を占用してしまうのはもったいない。

   

 例えば「みち」は、 単に人や車が通行するためだけの空間ではない。

子どもたちの遊び場であり、 立ち話などコミュニケーションの場でもある。

時には地域のお祭りやイベントの空間にもなったりする。

   

 沿道の住民が丹精込めた花や植木鉢が並び、 日常生活がにじみだした親しみやすい景観が形成される。

   

 かつて歩行者天国が各地に出現した。

自動車に占用された「みち」を人(歩行者)の空間として取り戻そうとする試みであった。

空間を多目的に使う試みともいえようが、 そうした利用に対応できるデザイン的工夫が十分でなかったこともあり、 日本では必ずしも定着していないようである。

   

みち、 公園、 校庭、 駅前広場、 駐車場、 空き地………

 ひとつの空間がさまざまな役割を担う。

平日と休日、 昼間と夜間。

時間によって異なった目的に使われる。

   

高密度な都心では、 何もない空間は貴重であり、 多様な利用に対応できる柔軟性をデザイン的に工夫することが必要である。

そして、 豊かな発想で、 そうした空間をじょうずに使いこなしていくことが、 都心を一層楽しく豊かなところにするのではないだろうか。

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