個人をプライバシーの檻に囲い込んでゆくのでなく、 公私の融合、 公共空間の中に私性を解放してゆく空間こそ都市の魅力!
そして、 公的空間は巨大な経済の論理と行政管理の力学によって均質化の一方を進み、 私的空間はプライバシー崇拝の中で閉鎖性を強めていった。
しかし、 都市はそこに暮らす人々の様々な私的空間の集積であり、 織りなされたものと考えるならば、 公的空間もまた個人の私性を解放し、 表出してゆくことによって、 生気をとり戻せるのではないだろうか。
それは公私に二元化された空間を調停する中間領域とか、 共有空間という概念にとどまるものではなく、 公共空間の中で泡のように生じては消えてゆく私的空間、 私的領域をいかに意識させ、 領域化することができるかにかかっているといえよう。
街路における私的空間のシーンは、 歴史的にも様々な地域で見かけることができた訳であるが、 一定のルールのもと、 共同で、 あるいは融通し合って公共空間を使い合い、 個人の路上生活の領域を再生することが都心居住だけでなく都市を魅力あるものにする大切な鍵ではないか。