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川が流れるまちなか

都市環境計画研究所 大矢 京子

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川が埋め立てられ、 高速道路や駐車場に変わり、 かつて川であったという面影すらなくなっているところもある。

まちなかの川を生活や遊びの中に戻し、 川の風情を生き返らせることにより、 都心の魅力が増すのではないだろうか。

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画像t035-1 公園の緑は、 ビルや高速道路のハ−ドな空間を柔らかくし、 ボ−トを漕ぐ学生達や釣り人の姿は眺める人を和ませる(大阪市中之島附近)
画像t035-2 川幅と建物の高さのバランスが良く、 空と水面とが一体的な感じがする。

浮かんでいるボ−トが人の気配を感じさせる(大阪市西道頓堀なにわ筋附近)

画像t035-3 視界は広がっており解放感があるが、 建て込んだビル群が背を向けてしまって人が近づけない(大阪市道頓堀戎橋附近)

 大阪のビジネス街の真ん中を流れる大川は、 緑に包まれた中之島をはじめとして、 ビジネスマンの憩いの場になっている。

春には川沿いに桜が満開に咲き、 夏には天神祭の囃しが鳴り響き、 何艘もの船が行きかい賑う。

普段の日には川沿いの緑道をジョギングする人、 散歩する人、 釣糸を垂れる人、 時々通る観光客を乗せて走る水上バスやボ−ト部の練習中の学生なども見られる。

都心の生きている川である。

   

 一方、 ミナミの繁華街を流れる川(水路?)として知られているのは道頓堀。

繁華なまちなかにあり、 多くの人が橋を行きかい、 川を眺め、 橋の上で待ち合わせをしている。

歌舞伎役者が顔見せに際して、 この川から劇場に入る“舟乗り込み”は江戸時代から伝わる行事である。

両岸から声援を送る客達に手を振りながら堀を舟で行く役者からは、 川の異臭に辟易する表情が読み取れた。

コンクリ−ト三面張りの川には黒い水が漂うだけで、 誰も近づけない。

   

 もっと都心の中に賑わいや安らぎのある美しい水辺空間があってもいいのではないだろうか。

   

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