住みあう―寄りあう
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子供たちを育む集住のかたち

大阪大学 小浦 久子

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子供たちは多くの人との関わりの中で育つ。

核家族化と、 職場と生活の場が離れるという状況において、 子供たちを育む新しい集住のかたちが求められている。

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画像t043-1 かつては家族や隣近所の目のとどく地域社会があった。

地域社会の中で働き、 子供達も育まれていた(インドネシア、 ジョグジャカルタ)

画像t043-2 ビル街にも保育所がある。

長時間保育の選択ができたり、 通勤ルートや職場に近い立地が働く女性の日常生活を支えている(大阪市新大阪駅周辺)

画像t043-3 様々な年代層の人々が一緒に暮らす北欧のコレクティブ・ハウジング。

共用のダイニングや居間があり、 現代の共同生活のあり方を提案している(スウェーデン、 フェデルクネッペン)

 いつの時代も都市に暮らす女性は働いてきた。

店番をし、 事務所を守り、 工場でも多くの女性が働いていた。

ただ店や事務所と住まいが同じ屋根の下であれば働きながら子育てができたし、 大家族であれば母親以外に面倒をみる人がいた。

少し大きくなれば近所の年齢の異なる子供たちどうしで遊んでいた。

   

 核家族化が進み住まいと働く場が遠くなり、 また女性の働き方も変わってくると、 家族や近所のつながりに頼ることが難しくなる。

都市に働く現在の女性たちを支えているのが保育所である。

ビル街の一室や駅ビルの保育所は通勤する女性の利便から生まれてきている。

働く場の近くに保育所があれば、 勤務時間中に様子を見に行くこともできるようになるだろう。

   

 しかし、 保育所問題は施設不足の問題なのだろうか。

住まい方や働き方の変化が地域生活や家族形態を変える。

その結果、 都市における集住のかたちの再構成が求められているのではないだろうか。

子供達の生活も高齢者の一人暮らしも住まい方の問題である。

高齢者に対するコレクティブ・ハウジングやデイケアサービスを住まい方の提案と考えれば、 それは子育ての状況にも共通する。

多様な人が寄り合う住まい方の中で子供達を育む場が都市の暮らしに必要である。

   

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