お年寄りも若者も、 まちに住みたい人のミックス居住には、 高質な賃貸住宅がふさわしい。
阪神淡路大震災後の都心マンションの再建を2つばかり経験して、 その住民の多様性に今更ながらに驚いた。
都心のマンションでは、 時間の経過とともにいろんな生活がそこで展開されていく。
年齢、 家族構成、 収入のスタイル・幅、 そういったものは実に多様になっていく。
この状況を現在の区分所有のスタイルで解くところに、 再建マンションの困難さがあった。
都心居住はいってみれば流動する居住形態と考えた方がよいだろう。
そうなれば、 都心居住こそ賃貸住宅の場に違いない。
歴史的にみても、 昔の都心居住は賃貸形式が主流であったはずだ。
近代の経済効率主義がもたらした都心居住の分譲化が、 実は大きな社会負担になるだろうことは、 今回の震災で大いに感じられるところである。
そこに、 当初から社会資本を投入し、 社会財産としての賃貸住宅を供給することは明らかに意義あるものと判断できよう。
その際には、 建物のスケールが問題だ。
これも今回の震災でより明らかになったことのひとつだが、 住宅はやはり、 巨大なのは困る。
第一、 建物が大きいと、 なかなか気持ちのいいまちになっていかない。
人間のスケールにあった集住があってこそ、 都心居住の魅力ももっと増すに違いない。
適度に分節、 分棟された集合としての都心居住賃貸集住が望まれる。