住みあう―守りあう
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育み共に生長する緑

大阪大学 久 隆浩

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確かに都心に緑は少ない。

しかし、 だからこそみんな愛着を強くもって緑を育てている。

手塩にかけ共に生長する緑の姿がそこにはある。

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画像t051-1 どこにでも見られた下町の風景。

そこには人々が愛を込めて育てた緑の風景がある(大阪市中央区上町界隈)

画像t051-2 大阪市東住吉区山五東町会では、 町ぐるみで花いっぱいのまちなみをつくりだしている。

花を通じたコミュニティ形成がある(大阪市東住吉区山坂五丁目)

画像t051-3 緑は時とともに生長を続ける。

人々が長年暮らし続けてきた住環境には、 緑豊かな景観ができあがり、 それが場所への愛着となる(大阪市中央区上町界隈)

 高密な都心部では、 たくさんの人や車、 建物等々がせめぎ合って存在している。

心にゆとりを与えてくれるはずの緑も、 その中では十分な量が確保できない。

しかし、 そうした状況の中でも人々はさまざまな工夫をこらして緑を育んでいる。

   

 生命(いのち)の鼓動を感じる存在として、 わたしたちは身近な緑に愛着をよせ、 自らの手でそれを育てる。

ひとりひとりのこうした思い入れが、 まち全体に広がったとき、 うるおいあるまちの景観が形成される。

また、 緑の存在や緑を育てる行為を媒介として、 コミュニティが熟成される。

   

 生物としての人間が永く暮らし続けるためには、 都心といえども、 緑との共生が必要なのだろう。

いや、 努力しないと消え去る存在だからこそ、 人々はがんばって緑を育てるのかもしれない。

   

 だれに言われるわけでもなく、 ひとりひとりの自主的な行為が、 緑豊かな景観をつくりだす。

そして、 時が経てば経つほど、 それはどんどんと熟成していく。

緑とともに生長を続ける人々やまちの姿。

こうした関係が都心の環境形成には大切なのだ。

   

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