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都心居住と深夜営業の店が安全の決め手

住宅・都市整備公団 西 斗志夫

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治安上危険なイメージがつきまとうアメリカの大都市。

だが、 24時間人通りの途切れることのない混在型のまちは、 意外に安全である。

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画像t053-1 このあたりは、 カフェが多いがアメリカでは例外である。

住んでいる人も多く、 凶悪犯罪は少ない(ニューヨーク、 グリニッジヴィレッジ)

画像t053-2 ギャラリーとも、 骨董屋ともつかない怪しげな店。

このあたりには、 ギャラリー、 カフェ、 ライブハウスと住宅が混在しており、 人通りの絶えることがない(ニューヨーク、 ソーホー)

画像t053-3 青空市場等の市場の存在も都心居住を支える重要な要素である(ニューヨーク、 ユニオンスクエアのグリーンマーケット)

ニューヨークの都心居住

 ニューヨークのまちの中で、 一番面白いエリアは、 ミッドタウンとダウンタウン最南端のウォール街に挟まれた、 ダウンタウンの北部エリアである。

ヴィレッジと通称されるグリニッジヴィレッジ付近は、 ジャズライブのメッカであり、 現代美術のアーティストが多く住み、 ギャラリーも多い。

また、 観光地としても有名なチャイナタウンとリトルイタリーなどもこのあたりである。

   

 かつて知り合いのアメリカ人から、 “グリニッジヴィレッジは、 アメリカにおける京都である”と言われて、 大変驚いたことがある。

アメリカ人にとってこのエリアの用途の混在の仕方、 都心居住者の多さ、 そして治安の良さはアメリカの中では例外なのである。

アメリカを代表するダウンタウンは、 実はアジア的なまちなのである。

   

 また、 近くのユニオンスクエア付近も住宅が多く、 特にグリーンマーケットが開かれる日は大変なにぎわいである。

ジェーン・ジェコブスは、 かつてこのヴィレッジ周辺やボストンのノースエンドの混在型のまちがアメリカの都市の中でも最も安全なまちであると指摘した。

つまり、 当時のアメリカの都市計画を支配していた用途純化論こそが犯罪増加の遠因となっていることを実証的に示して見せたのであった。

   

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