小さなビルの中で、 生活し仕事をする人々の組み合わせ。偶然の出会いだけれども、 楽しいドラマが展開する。
1階はドイツ料理店「アンドレア」。 この店でしか飲めないようなドイツビールやワインが売り物(京都市中京区) | |
2階は我がランドスケープ事務所。 スタッフは皆自転車で通ってくる(京都市中京区) | |
3階は、 染め織り作家、 社交ダンサー、 日本舞踊家の小杉さんの工房。 偶然、 同じビルに集う人々が、 オムニバスの物語を展開する(京都市中京区) |
私の事務所が入居しているKビルは、 10坪ほどの建築面積で4階+ペントハウスである。
1階はドイツ料理店、 2階は我がランドスケープ事務所、 3階はオーナーである小杉さんの染め織り工房である。
このような組み合わせは、 京都では取り立てて珍しいものではないが、 不思議に気の合う人々の集まりとなった。
私の事務所には、 1階からビアジョッキーを傾ける人たちのざわめき、 3階から深夜まで機を織る音が聞こえる。
小杉さんは、 社交ダンスを教え、 日本舞踊を舞い、 近所にいる孫の面倒も見ている。
さらにビルはメインストリートの河原町通りと、 東山を望む鴨川に挟まれた位置にあり、 都市のにぎわいと自然の風を相互に感じ取ることができる。
人々の多彩な動き。
都市と自然の交感。
このビルの3つの階をヒッチコックの映画「裏窓」のように、 外から同時に見る視点があれば、 奇妙なドラマが展開することだろう。
また、 「オムニバス」という物語の様式は、 乗り合い馬車に居合わせた人々がそれぞれの人生を生きているところからきている。
都心という「乗り合い馬車」の中に凝縮された私たちの生き様を時に俯瞰し、 時にのぞき見て、 生き生きと描写する視点はないものだろうか。