居住を支える販売・サービス・加工・修繕などの個別・雑多な小さなミセを育てることから都心の魅力化・活力化がはじまる。
標準化された商品・サービスの供給システムだけではこれを満たし得ない。
生産者の名前つき農作物が喜ばれていると同様に、 都市的消費システムのなかでもフェイスツーフェイスの関係回復が望まれてくるのではないか。
今でも、 飲み屋・バーであるとか飲食店、 理美容店はそういった類の場所であるし、 環境共生の時代に求められる生活用品の修繕・加工や、 個性的なくらし・趣味活動などの新しいライフスタイルに応じるこまごました注文・相談などには、 店主が客と応対できる小さなミセの役割と力が生きてくる。
自立精神と相互の交流・交歓を軸にしながら成立する小規模ミセ群の生き生きした集まりとしての都心環境をつくるために、 行政はその枠組み・建物フレームの提供・貸与などの支援を行い、 デザイナーは都心環境の美学を組み立てなおす作業に着手しなければならない。
拡大と滅失などの変動を繰り返す小さな仕事・小さなミセこそは、 都市の変貌・ダイナミズムの源泉を為すものなのだ。