混じりあう―仕事が混じりあう
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働きながら住み続ける街

生活環境問題研究所 山本 茂

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働きながら住み続ける人の多い街には、 見かけの美しさや賑やかさでない、 街全体が生きているという魅力がある。

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画像t072-1 店を構えて住み続ける人の多い街では、 顔馴染みの姿が毎日見えるだけで心強い。

子どもは働く姿を見たり、 手伝いをしながら成長する(豊中市桜塚商店街)

画像t072-2 働くだけや住むだけではない街だから、 生活の臭いや歴史がある。

街全体が生きているから、 サラリーマン世帯が住んでも楽しいはずだ(豊中市岡町商店街)

画像t072-3 ニュータウンでは、 いきいきと働く人の姿は露店で見られる。

働く人が見えない郊外住宅地という不思議な街を私たちはつくってきた(千里ニュータウン)

 郊外の住宅地と都心の大きな違いは、 働く場があるか、 働く人の姿が見えるかどうかだ。

特に、 古くからの都心には、 店を構えて働きながら代々住み続けている人―職住近接型自営業―が多い。

   

 職住近接型の街では、 働く人の姿が見えるだけで街に活気がでるし、 顔馴染みがいるだけで心強い。

友達の家に遊びに行って店の手伝いをするのが楽しみだったという話のように、 子どもは働いている人の姿を見ながら成長する。

こんな街では、 緊密なコミュニティが形成されており、 非常時に力を発揮するのは阪神大震災で証明済みだ。

働くだけでなく、 住むだけでもない街だから、 街のあちこちに生活の臭いや歴史を感じる。

街の全体が生きているから、 職場をもたないサラリーマンの世帯が住んでもきっと楽しいはずだ。

   

 再開発が進み、 都心とは郊外から通うサラリーマンがスマートに活動するオフィス街か、 夜になるとネオンが眩しい歓楽街のどちらかと錯覚されかねない状況の中で、 働きながら住み続ける人のいる街を残し、 つくれないものか。

   

 ここまで書いて思った。

私の育った農村にも、 かつては働く人の姿があったが、 だんだん少なくなっているという意味では、 都心も農村も同じだ。

そして、 働く人の姿が見えない郊外住宅地という、 何とも不思議な街を私たちはつくってきたことか。

   

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