生産や交易を含む本当の都市が成立した時、 その主役となったのは商人であり、 職人の親方であった。彼らは例外なく職住一致の店舗併用住宅に住んだ。
職住一体の店舗併用住宅街区は日本、 アジアだけでなく欧米でも都市を構成する基本単位である。
都心居住というテーマは、 都市の成立と深く関わっており、 都市の生活というものが本来、 都心居住しかなかったという点を忘れてはならない。
その場合、 住居といっても「住む」だけの住宅という概念は貴族か最下層の住宅のものであって、 そこで商売をすることが前提であった。
そして、 家族を含めて、 一日のほとんどの時間は住まいの生産空間や商空間ですごしていたのである。
今でも、 ベトナムやバンコクなどアジアの都市では、 華僑のもたらした街屋や、 これにヨーロッパの影響を受けたショップハウスが健在である。
今、 日本をはじめ欧米先進国では、 路面型の商店街が衰退してきているが、 新たな試みで成功している例もあり、 商住一体の町家を現代に再生すべきだ。