デパートの上に住んで、 屋上で「畑」を耕す。用途と生活スタイルの“雑居”こそ、 魅力的な「都心居住」のカギである。
シンガポールやクアラルンプールのような、 緑豊かな“都心”の、 デパートの上か何かに住んで、 屋上で「畑」などをつくって、 それで仕事場が同じ街の中にあったりしたら、 「都心居住」もそう悪いものではないだろう(上:香港大丸、 銅鑼湾、 下:東京都中央区佃1丁目) |
香港で、 デパートの上にアパートが乗っているのを見て、 驚くと共に感心をしたことがあった。
理屈から言えば、 下駄ばき住宅のテナントとしてデパートが入っているだけのことであるから、 別段驚くほどのこともないはずであるが、 「都心居住」の極みとも言えるだろう。
そうした“都心”に住んでいるからといって、 特に「都会的」な生活をしなければならないと言うこともないはずである。
屋上で「畑」でもやったら、 健康にも良いし、 生ごみの処理の助けになるし、 土と植物が断熱材となって、 都市のヒートアイランド化の防止に少しは役にたつだろう。
都市の“都市”たる所以は、 「何でもあり」の可能性にあるはずであって、 規制にがんじがらめになった都市は、 やがて活力を失って衰退して行く。
生活スタイルについても同様であって、 一つのスタイルしか許容しない、 選択肢の幅の狭い都市は魅力的な都市とは言えない。
用途も生活スタイルも、 “雑居”こそが「都心居住」の魅力と快楽を生み出す源である。
したがって、 仕事場も都心に“雑居”して、 家の近くにあったら「快楽的都心居住」も決して夢ではない。