窓を開けると街の喧騒が伝わってくる。ちょっと着替えて住宅から外に出ると、 すぐに店がありレストランがあり、 銀行がある。
それに続く賑やかな街がひろがる。
古代ローマは都市型住宅発祥の地である。
インスラと呼ばれる、 1階店舗で2階以上が住宅の典型的複合建物は、 城郭都市内での高密集住の必要性からうまれた。
歴史的には、 大都市都心部の建物は、 その多くが積層高密住宅であり、 下層部に店舗等の何らかの施設を取り込んでいた。
それが都心居住者の日常生活を便利に豊かにしていた。
ロンドン・パリ・アムステルダム等ヨーロッパの都市の多くは郊外にニュータウンを造ったが、 都心の住宅複合建物も多くを残した。
それが今、 魅力に富んだ都心となり、 そこで生まれる文化情報を世界に向けて発信している。
ところが、 スクラップアンドビルドの早い日本の都心部からは、 住宅が駆逐された。
併せて利便施設の店舗が消え、 一層都心を住み難くした。
都心文化を享受しようにも、 我が家はどんどん遠くなる。
高地価ゆえに、 もっと様々な機能の複合化を進め、 住宅が共存しえる知恵と工夫が必要だ。
店舗は言うにおよばず、 文化施設や児童施設・高齢者施設との複合化、 そしてひろばも露天市と複合できるひろばに、 川に掛かる橋までも、 店や美術館と複合させる等、 そのしくみと楽しい複合のデザインを生みだし、 生活都心を生き返らせよう。